対策――諸外国を見習いまともなセンサーを用意し、規制を撤廃し、虚妄を捨てよ――

 そうであってはいけない。いますぐ早急に世界最低レベルになっているドローン抑止力を向上させる必要がある。

 そのためには、第一にドローンを知ることだ。安全保障の専門家や政府関係者の多くがドローンを実際に体験、目撃したことがない――実はこれは米軍でも同じ問題を抱えている――為にドローンを過大評価したり、過小評価したりしがちである。専門家や防衛省高官の多くが、いずも事案の当初にフェイクだと断じたのはその典型だろう。

  ドローンの業界団体を自称するJUIDAも例外ではない。西日本新聞に対して「小型民生用ドローンはプログラムによって原発の上を飛べない設定になっている」「VTOL型の特殊なドローンだ」などと同団体の会員企業である中国DJI社をかばうようなコメントをしているのだ。

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 しかし、実際には平田氏が西日本新聞で指摘しているように、小型民生用ドローンだとしても位置情報を偽装すればプログラム制御を回避できる。またVTOL型ドローンは長時間ホバリングできないため目撃情報と異なる。日本を代表する業界団体からして知識が誤っているのだ。

 なぜ誤った知識が広がるのか。航空法や電波法などの規制関係で実は自衛官であってもドローンを飛ばしたり、実験したり、目撃する機会が奪われているのが一つの要因だろう。それではいけない。少なくとも自衛隊や警察や原発などの重要施設の警備員は、国内の従前の規制を超えた、本来の性能を発揮するドローンでテロリストやドローンの性能を確かめるべきだ。

 実際、韓国はハマスによる2023年10月の大規模攻撃でドローンが中核的な役割を果たしたことから、僅か2か月後に北朝鮮が同様の戦術を採用することを想定した訓練を首都ソウルにて官民一体で行っている。

 こうした韓国の取り組みを見習って、東京でのドローン攻撃や侵入を前提とした実戦形式の演習を自衛隊・警察・警備会社が一体となって行うべきだ。また、富士訓練センターなどのアグレッサー部隊は、少なくともロシア軍レベルのドローン戦能力を身に付けるべきだろう。現状はロシアどころか北朝鮮軍にすら劣る。