どのように探知すればいいのか…
続いて重要なのは、探知能力の強化である。日本ではレーザーやレールガンなどの欠陥を抱えた未来技術による“対処”能力ばかりが強調されるが、そもそも探知がなくては攻撃もできないし、攻撃後の戦果確認も不可能だ。
しかしながら、自衛隊などが導入した現状の探知装置は機能していないという。
ウクライナの専門家が提起しているように、従来型の防衛産業はデジタル民生技術に弱く、まともな対ドローン機材を開発できていないという問題はある。しかし、それ以上に大きな要因は企業の売り文句とパンフレットだけを真に受けて調達している点だ。実戦形式の対抗演習で性能を確かめてから購入すべきである。
また、探知のためには規制緩和も必須だ。ある自衛隊施設では対ドローンレーダーを調達したが、総務省の指導で設置場所が山頂から中腹に移動させられ、性能が大幅に低下したという。さらに日本製のドローンレーダーの出力は、規制の関係と現代戦への無知でウクライナや台湾製のものよりかなり低く、遠くまで届かない。
レーダーよりもドローン探知が期待でき、ウクライナ戦争でも活躍しているスペクトラムアナライザー(ドローンと操縦者間の電波を受信して探知する装置)についても、本来は移動して運用すべきにもかかわらず、自衛隊の多くの施設では固定設置して受信能力を下げたり、特定の周波数帯――違法電波を前提としていない――のみを対象としており、性能が不足している。ウクライナが行っているように、小型で広範な周波数帯を探知可能な機材を可搬状態にし、機動的に運用すべきなのだ。
少なくとも当局者には、現代戦におけるドローンの国内規制を超えた性能や運用を知悉していただき、しっかりと探知して操縦者の逮捕を粛々と行うことが失われた抑止力の回復につながるのである。
このまま今回の事案のようなドローンの跳梁を放置すれば、たとえば靖国神社に放火するような人物が今度はドローンで放火を始めかねない。ドローンの治安機関におけるフルスペックの規制緩和と探知能力の向上は急務である。
