日本の財政赤字が拡大の一途を辿るなか、日本国債格下げの懸念が高まっている。国債の買い手として重要視されるメガバンクトップは、現状をどのように受け止めているのか。三井住友FG社長の中島達氏に話を聞いた。
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国債投資を増やしていく
――日銀は大規模金融緩和から舵を切り、国債の買い入れ額を減らしています。大口の買い手である生保も超長期債は購入を減らす傾向にある。日銀に代わる買い手としてメガバンクにも期待が寄せられていますが、今後は国債の購入を増やしていきますか?
中島 いま、当社が持つ国債は約11兆円で、その大半は、外貨を調達する際、海外の金融機関に担保として渡すためです。そのため、金利リスクを取らず、1年以内の超短期国債が中心となっていました。今後は国債の金利が上がっていくとみています。相場を見極めたうえで、投資としての購入を増やしていく可能性はあります。
ただ、もう少し時間はかかるでしょう。10年物国債の金利は1.5%を超えましたが、私は、あと数年で2%近くまで上がる可能性があると見ていますから、まだなかなか手は出せません。「ここからはそれほど上がらないな」という水準になったら投資を始めるつもりです。
――11兆円の国債を、どれくらいまで増やすつもりですか?
中島 過去、最も多い時は30兆円弱持っていました。いま、日銀に預けている当座預金は50兆円を超えていて、このうちのいくらかは国債購入に充てることができる。金利の相場観やマーケットの環境次第ですが、長期国債と短期国債の金利差で稼げる状況になれば、現在の倍の20兆円にするのは難しくありません。当社だけでなく、今後数年間は、各銀行が持つ長期の国債が増えていくでしょう。
