恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン4に参加し、現在はタレントとして活動するシンディ(本名:桑原(くわばら)茉萌(まほ))。

 18歳で突如発覚した、30センチにも及ぶ卵巣腫瘍。死線をさまようほどの壮絶な闘病体験、そして生還を果たした彼女がたどり着いた境地とは?(全7回の2回目/続きを読む

高校時代のシンディさん(本人提供)

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――すぐに手術は決まりましたか。

シンディ この病院では対応しきれないと言われて、紹介状を持って病院を2、3カ所回りました。ようやく手術してくれる病院が見つかって、夏休み直前に手術することになったんです。

 急遽学校を休むことになって——当時のことを思い出すと今でも本当に辛いんですが——私は女子に嫌われていたので、本当に死ぬかもしれない病気なのに、妊娠して中絶するために休んでいるという噂を立てられたんです。そのため、学校に通うことも怖くなりました。

写真=深野未季/文藝春秋

 さらに、学校を早退して制服で産婦人科に通っていたので、妊婦さんたちに白い目で見られました。「あんな若さで妊娠して、責任感ないのね」とでもいうような。めっちゃしんどかったです。私の居場所はどこにもないんだな、女性からこういう視線を向けられ続けるんだなって。

子供を生める可能性がほぼ無くなる可能性もあった

――何という病名だったんですか。

シンディ 右側の卵巣に()(よう)嚢腫(のうしゅ)ができていました。卵巣内に脂肪や髪の毛、歯や骨などの組織が溜まって腫瘍化する病気です。

 手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に登場するピノコと同じですね(注:ピノコはこの腫瘍の中から摘出されて、人工の体を得たキャラクター)。これはあくまで私の見解ですけど、勝手に体が卵巣内で子供というか何かを作ろうと働いて、人体を結成してしまったみたいなイメージ。

30センチの卵巣腫瘍があった(本人提供)

――どのような手術が必要だったのでしょうか。

シンディ どの先生も右側の卵巣を全摘すべきと言いました。でも、すごくいい女医さんに巡り合えて、彼女だけは「卵巣を残したいですか?」って聞いてくれたんです。

「もし今の若さで右側の卵巣を全摘したら、左側の卵巣に転移する可能性があります。転移した腫瘍がどんどん大きくなったら、子供を生める可能性が本当に低くなるから、そこも理解した上で、どうしたいかと教えてほしい」と言ってくれたんです。

 私は将来子供を生みたいという夢があったので、残す方法で手術をお願いしました。それも、全開腹ではなく、腹腔鏡で。「将来芸能活動をしたいから、なるべく傷口が目立たないようにしてほしいです」と。