「言葉に尽くしがたい程のひどい痛みでした」

――手術は大変でしたか。

シンディ 私の手術はいろんな大学病院の医師5名が見学する中、4〜5時間かけて行われました。もう本当に最悪。私の中ではかなりのトラウマです。

 まず、全身麻酔の注射がめちゃくちゃ痛いんですよ。打たれながら意識が遠くなって、目覚めたら激痛。わかりやすく言えば、私の体内にあった30センチの風船にストローで穴を開けて、その中に入っている空気と液体だけを外に出し、余った皮をくしゃくしゃに小さくしてまた同じ位置に戻すような手術だったんです。

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高校時代のシンディさん(本人提供)

 それまで臓器が腫瘍に圧迫されていたので、臓器が元の位置に戻ろうとして、ぎゅるぎゅるぎゅるって音が聞こえてくるんですよ。何かがお腹の中で動いているのもわかるし。腹腔鏡手術なので、表側はちっちゃな傷しかついていないけど、中身はめちゃくちゃ切っているので、とにかく激痛でした。

 起きた瞬間から過呼吸になり、パニックを起こして暴れたので、先生たちに押さえつけられて鎮痛剤と安定剤を打ち込まれました。呼吸ができなくなっていたので、酸素マスクも付けられて。宮城から来てくれた祖母やいろんな人の手を振り払いながら、泣き叫び続けました。言葉に尽くしがたい程のひどい痛みでしたね。

手術後は声すら出ない状態に…

――回復にどれくらいの期間を要しましたか。

シンディ 当初は1週間の入院で済むはずが、1カ月以上病院にとどまることになりました。本来であれば摘出しなきゃいけないものを無理やり残してもらったので、手術箇所から出血してしまったんです。

卵巣腫瘍は24歳でも再発。大人になってからも闘いは続いた(本人提供)

 血にはたくさんの栄養があるので、ばい菌が集まってきて、そのせいで血液の数値がおかしくなりました。私は相部屋を選んでいたんですが、手術後、病院側が「お金の負担は要らないので」って個室に移されたんです。一度はICU(集中治療室)にも入りましたし、面会できるのは家族のみ。呼吸器官にもばい菌が繁殖して、声すら出なくなりました。

「私、死ぬんだな」って思うじゃないですか。一人病室で泣きながら、「もし生き延びることができたら、一回きりの人生、死にたいなんて簡単に言わないようにしよう」「やりたいと思ったことを、やりたいと思った時にやろう」と天井に向かって毎日誓いました。