――入店してみて、いかがでしたか。

シンディ バーレスクに入って意識が変わりました。キャバクラの女の子同士の関係は結構ギスギスしていたので、六本木の華やかな場所にいる女の子たちはもっとすごいかもと覚悟していましたが、全く逆。

 ダンスのショーをみんなで作っているので、誰かを蹴落とそうとする意識がなくて、それぞれが個々を大事にしていました。私は1年半ステージに立ちましたが、いじめられたことも、先輩に怒られたことも一度もなかったです。

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本人提供

ダンス未経験で入店→わずか1週間でセンター抜擢

――ダンスの経験はあったんですか?

シンディ ありませんでした。でも、入店して1週間でステージのセンターを任され、2カ月でSNSフォロワー数1万人を達成しました。どちらもバーレスク史上最速だそうです。

 私を目当てに来て下さる男性と女性のお客様がすごく増えたので、オーナーが人気キャスト6名くらいを選抜して、“推しプラン”を作ったんです。推しのうちわとブロマイドがもらえて、そのダンサーが踊る側の席を確保できるというものでしたが、その指名本数も長年働いている先輩方を差し置いて、私が1番の時が何度もあるほど多くのファンの方に応援して頂けていました。

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――どこでも注目されるんですね。

シンディ それまでは1年以上経験を積んだ人しかセンターに立てなくて、何でダンス経験もない私が選ばれたんだろうと思いました。でも、負けず嫌い心とチャンスを無駄にしたくない気持ちから「やらせて下さい」と言ったんです。

 それからずっとセンターに立ってきましたが、わかりやすく行動で示すようにはしていました。当時は深夜2時くらいに営業が終わったので、その後、先輩に見てもらいながら3時間みっちりダンス練習をして、始発で大宮に帰って、大宮駅から家まで歩いて、また出勤という生活を続けたんです。一気に痩せて、体型も絞れてきました。

 そういう姿勢をきっと誰かしらは見てくれていたんでしょうね。私がセンターになって、誰も文句を言ってくる先輩がいなかったことに驚きました。

「勝てない試合はしたくない」逆転の発想で守り続けたセンターの座

――大抜擢ですね。

シンディ どうやってセンターの座を守り続けたか。そこでも逆転の発想を大事にしました。十何年もダンスやヒップホップをやってますという先輩にはどう頑張っても勝てない。私は勝てない試合はしたくないんですよ。

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 当時はみんな先輩から教えられた振付しか踊らない環境だったので、私はオリジナルの振りを加えようと思いました。例えば、ハートを作ったり、投げキッスを飛ばしたり、ウインクしたり、ちょっとファンサービスになるような振りを足したんですよ。そしたら、すごく受けて、ファンが増えて、それを真似る先輩や後輩が増えました。