――そこまでするほど「痩せた」と言われる快感は強かった?
前川 「また痩せた?」と言われるたびに「ようやく私の時代がきた!」と天下を取ったような気持ちになってしまっていました。それでも不十分な部分を見つけては「もっと痩せたい」と思っていて、終わりのないゴールを追っている状態でしたね。
というのも、当時仲が良かった子たちと海に行ったりハロウィンやクリスマスパーティーで露出の多い派手な格好をした写真をmixi(当時流行していたSNS)のアルバムに載せていたんですよ。当時は加工機能なんてなくて、どの角度から見ても全ての瞬間で痩せて見えないといけない、と気が抜けない日々でした。
「1日の食事が飴3個の生活」であばら骨がくっきり見えるぐらいに…
――162cm40kg以下はかなり細いというか、むしろ痩せすぎですよね?
前川 その頃はあばら骨がくっきり見えるぐらいで、今見ると不健康なくらい細いんですが、「次はもっと痩せてくる」が口癖になっていました。周りは「これ以上痩せる必要ないよ」と言ってくれるのですが、私は本気でまだまだだと思っていました。
――卒業後に入社された三井不動産は激務の印象も強いですが、ダイエットは続行されたのでしょうか。
前川 むしろ会社にダイエット仲間がいたことで悪い意味で刺激しあってエスカレートしていきました。米・パン・麺類を10カ月断ったり、1日の食事が飴3個の生活を送っていましたね。栄養は当然足りないし、良いダイエット方法ではないです。
1日分の飴玉を「今日の配給です」と言って渡し合って、何人かでメールグループを作ってどれだけ食事を我慢できたかの“努力報告”をしてました。この頃は40kgを切って39kgぐらいになっていて、さすがに「痩せすぎ」と言われることも増えていたんですが、自分では誉め言葉だと思ってたんですよね。心配して言ってくれてるのに、「もっと言って欲しい!」みたいな。

