慶應義塾大学卒業後、三井不動産、JICAや外務省で勤務と輝かしい経歴を持ち、6年前にはスリランカでフィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業した前川裕奈さん(36)。
しかし小学生の頃につけられたあだながきっかけで、20年近く容姿にコンプレックスを持ち続け、「1日の食事が飴3個」という過激なダイエットを続けていた時期もあるという。「呪い」の元になった衝撃の体験について話を聞いた(全3回の1回目/続きを読む)。
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――前川さんは小さい頃、どんな子どもだったのでしょう。
前川 いわゆる女の子らしいタイプではなくて、幼稚園の頃はどんぐりを拾って鼻の穴に詰めたり、走り回ってフェンスの角に頭をぶつけて流血したりしていました。
親は小学校受験を考えていたようなのですが、塾の先生に「やめた方がいいのでは」と止められるくらい落ち着きがなくて。結局、父の仕事の都合で5歳からイギリスに転勤したので、受験はしませんでした。
――イギリスでの生活はどうでしたか?
前川 「英語を喋れるようになってほしい」という家族の希望もあり、現地校に入学しました。クラスで唯一の日本人で、肌の色も違うし黒い髪も少なくて、ちょっと目立っていたと思います。
それでもいじめられたりすることは全くなくて、のびのび過ごしていました。ディズニーのポカホンタスに似ていると言われたことが嬉しくて、ポカホンタスのコスプレで学校にいくような日すらありました。
「デブすぎてスパッツだけなのか? デブスパッツだな」
――その後、イギリスから7歳の時にオランダに移り、10歳で日本に戻ってきたんですよね。
前川 そうですね。神奈川の元々住んでいた家に戻ったので、5年生からは近くの公立小学校に通うことになりました。でも転校してすぐに、衝撃の出来事があったんです。
上が黄色いセーターに下は黒いレギンスというお気に入りの服装で登校したら、同じクラスの男子に「デブすぎてスパッツだけなのか? デブスパッツだな」といきなりあだ名をつけられて。
――ひどいあだ名ですね……。言われた瞬間どう思いましたか?
前川 怒ったりする前に、恥ずかしさが9割でした。
日本ではスパッツの上にはスカートやショーパンを合わせるのが主流でしたが、ヨーロッパでは下がスパッツ(今でいうレギンス)1枚のスタイルは珍しくなかったですし、それがおかしいなんて思ったこともありませんでした。
でももしかして帰国してからずっと醜態を晒していたのかと不安になって、「なんで今まで誰も教えてくれなかったんだろう」って思っちゃったんです。身の置き所がないというか、なるべくみんなの輪に入らないようにしようと思いました。

