――体調は大丈夫だったんですか?
前川 この頃はとにかく肌荒れがひどくて、「怪我をした」と嘘をついて顔にガーゼをつけて出社することもあるレベルでニキビだらけでした。ただ、それがダイエットのせいだということには気づいていませんでした。
幸か不幸か体が丈夫で、深夜3時まで残業して8時に出社するような日々でも貧血になったり生理が止まったりすることもなくて、フルマラソンを走ったりもしていました。体が丈夫すぎて、自分の生活のヤバさに気づくのが遅れた感じはします。若さもあって、とにかく力技で強行突破できてしまう時期でした。
「反動でカップ麺5個とファミリーパックのお菓子を1人で全部食べてしまうことも…」
――メンタルにも影響がありそうですがどうだったのでしょう。
前川 確かに、振り返るとこの頃は何をしても楽しくなかったんです。でも仕事が大変だからかなーと思っていました。ふと時間が空いたときに急に食べること以外何も考えられなくなって、コンビニへ行って大きいサイズのカップ麺5個とファミリーパックのお菓子を買って1人で全部食べてしまうこともありました。それだけ食べても全然おいしい感覚はなくて、ただ止まらなくて泣きながら玄関で食べていたこともありました。
爆食すると当然その反動で激しい罪悪感が来るのでまた絶食。少し経ったらまた爆食して絶食……ということを繰り返していたんです。
――かなり危険な状態だと思うのですが。
前川 でも当時は満たされていない自分にも気づいていなくて、「私は細いし、好きな服も着られるのだから、幸せな人生を送っている」と思い込んでいました。それが幸せの定義だと刷り込まれていたし。反動で爆食してしまうこともそれほど重大だとは思っていなくて。
――当時の前川さんにとってダイエットへのモチベーションはどういうものだったんですか?
前川 細いと褒められるのが嬉しい気持ちもまだありましたけど、その頃には「タスクをクリアする」という感覚になっていた気がします。体重が減っても、見た目で変化があっても、私のことを好きだと言ってくれる人がいても、常に「もっと痩せたい。綺麗になりたい」という渇望が消えなくて、そのためにやることは全部やる、という感じで追い立てられていましたね。
昔みたいにあだ名がつくこともなければ、友達も心配してくれる子ばかりで、お付き合いする人にも容姿についてネガティブなことを言われることはなかったし、でも、もうそこは自分にとって関係なくなってしまってました。周りからの承認欲求で加速したダイエットでしたが、私自身が自分を承認してあげることができずにいたんです。
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