――前川さんの中で、ルッキズムの呪いが解けてきたと感じた瞬間はありますか?
前川 スリランカに来てもランニングや運動は「痩せるため」ではなく「自分のため」に継続していたんですが、気づいたらSNSに筋トレ動画を無加工で上げるようになっていたんですよ。レギンス1枚で運動している動画なんて体のラインが思いっきり出るけど、それを自然と投稿している自分がいて、少しは呪いから開放されたのかなと思いました。
あと以前は「痩せるためにあと何キロ走らなきゃ」と眉間にシワを寄せて走っていたのが、今は「気持ち良いところでやめとこ」「終わったあとビール飲も」と楽しく走るようになりました。同じ「ランニング」でも、捉え方次第でこんなにも見える世界が変わるんですよね。
明日世界が滅亡するとしてもダイエットのために走りますか?
――日本とスリランカを行き来する中で、ギャップも感じますか?
前川 やっぱり日本では「痩せなきゃ」と思いつめている女性は多いですし、電車内やSNSに出てくる広告などでプレッシャーを感じることも多いですよね。
今でも細い=美しいという価値観は根強くて、就職の面接やSNSで人気になりやすかったりと、痩せている方が実際に得してしまう場面も多くて、痩せ信仰から抜け出すのは本当に難しいと思います。
――22歳の前川さんのように、今まさにダイエットにのめり込んでいる人がいたらなんと声をかけますか?
前川 もし明日世界が滅亡するとしてもその選択をする? と聞きたい。これ、尊敬してるトレーナーの方の受け売りなんですけどね(笑)。たとえばランニングでも、ダイエットが目的ならもう走る意味はないけど、運動すること自体が好きなら世界が滅亡するからこそ最後に楽しみながら走りますよね。
とはいえ強いコンプレックスを抱いている人に「あなたはそのままでも素敵だよ」と言っても、すぐには届かないと思うんです。私自身も20代前半の時にそんな風に周囲に言われても「何言ってるんだ」と思ったでしょうし。ただ、生まれた日から死ぬ日まで、「自分」はずっと一緒にいる存在です。
だからこそ、一番の「自分の親友」になったつもりで、自分に優しい言葉をかけてあげてほしいですね。私も、私自身が自分の一番の親友だと思って、20代の頃辛く当たった分、今はめちゃくちゃ優しくしまくってます!
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