「本当にルッキズムが嫌いならお前がチビ、デブ、ハゲと付き合ってから言え」
――前川さんのSNSを見ると、女性インフルエンサーのSNSに溢れる「かわいい」というコメントがほとんどないのが印象的でした。
前川 褒め言葉のつもりでも外見に言及するのはNG、とずっと言い続けてきたので、わかってくれる人が増えてきました。でもいまだに「本当にルッキズムが嫌いならお前がチビ、デブ、ハゲと付き合ってから言え」と言われたり、「高学歴エリートのお嬢様のグチはうんざり」といった言葉をぶつけられることもよくあります。自撮りを載せているからか「美醜にとらわれているのはあなたでは?」と言われたりも。
――前川さんについて「その容姿で何に悩むの?」という反応もありそうですが。
前川 確かに私自身が瞬時には「共感されにくい」外見だという自覚は正直あります。特徴のあるビジュアルでもないですし、私より深刻なイジメやコンプレックスに苦しんだ経験を持つ人がいることももちろん知っています。
ただ逆に、そんな私のような人間でも「20年近く容姿について悩んできたんだ」「辛かったと言っていいんだ」と発信することで、「誰にとっても他人事じゃない」「誰だって悩む権利があるし悩まない権利もある」と思ってもらえる可能性もあると思うんです。ある意味、超人的なタレントじゃない一般人の私が言うからこその意味というか。
――辛さを誰かと比べて、一番辛かった人しか苦しいと言っちゃいけないわけじゃないですよね。
前川 私も今でも「あ、言葉選び間違えちゃったかも」と思うことはあります。背が高い女友達と一緒にライブを見にいった時にふっと「見やすくていいな」と伝えたんですけど、彼女は「『背高い奴が前にいて運悪い』と後ろのお客さんが言っているのが聞こえて、高身長でライブ参戦は肩身狭い」と言っていました。
もしかすると、私が言った「見やすくていいな」も、彼女のコンプレックスを刺激したのかもしれないと思ったんです。
――難しいです。
前川 ルッキズム払拭の発信をしていますが、肌荒れはしたくないしシワは減らしたいし、白髪だって気になります。けれど「誰かのため」ではなく、「自分のため」の理想像はもっていても良いと思っていて。でもその理想像を他人に向けて強制しない、というのが第一歩なのかなと思ってます。

