日刊SPA!で、ふわっち配信者であるせいZクレイジーパピヨン氏は、配信で月収300万円が得られたと明かしている。「元妻も配信者なんですが、向こうが配信しながら養育費の取り立てにこられたときが一番バズりました。ふわっちは配信者同士の事件もあるので、それを楽しむリスナーさんも多いですね」という。
「匿名・飲酒OK」がカオスを生む
ライブ配信についての口コミを調べると、ふわっちについては、「荒れている」「配信が過激」「下ネタや暴言が多い」「アングラ系」などというものが目立つ。
ふわっちの「たぬき」カテゴリは、視聴者が匿名でコメントできるようになっている。ユーザーはたぬきのアイコンとなり、誰がコメントしたのか配信者・他の視聴者から分からなくなる。つまり、場が荒れやすい仕組みがあるのだ。配信者が自分の配信に対するコメントを強制的に匿名にできる「キツネ」カテゴリもある。
また、他の配信サービスには、配信中の飲酒・喫煙が禁止されていたり、許可されていても制限があるが、ふわっちでは飲酒・喫煙しながらの配信が可能だ。
そのため、飲みながら暴言を吐く配信も多く、中には泥酔して、冒頭で紹介した放尿事件などを起こす配信者もいるというわけだ。その他にも、配信者同士の罵り合いによるバトル配信なども多い状態だ。
一般人でも収入が得られるチャンスだが…
ライブ配信自体、配信者にとってはその他大勢でも、視聴者からすれば特別扱いされている錯覚を覚えやすいサービスだ。それがタレントなどではなくアマチュア配信者であれば、実際に距離が近くなりやすい。
視聴者数が少ないため認識してもらいやすく、連絡すれば返信がもらえたり、中には視聴者と会ってしまう配信者もいる。その結果、冒頭の殺人事件などにもつながってしまっているのだ。
アマチュア配信者中心のサービスであり、一般人でも稼ぎやすい一方、収益に直結するため配信が過激化しやすいこと、飲酒・喫煙しながらの配信が可能でトークが過激化しやすいこと、匿名でのコメントができるため荒れやすいことなどが重なって、ふわっちでトラブルが続いていると言えるのではないだろうか。
もちろんサービス自体が問題なわけではなく、一般人でも収入を得る機会が増えることはいいことに違いない。一度配信してしまったことは消せず一生残る可能性があることを忘れず、視聴者との距離感を間違えず安全に配慮しながら配信する節度が必要なのだろう。
成蹊大学客員教授
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、講演などを手掛ける。SNSや情報リテラシー、ICT教育などに詳しい。著書に『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α文庫)ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。元小学校教員。
