女性の半数近くが「自宅だとノーブラ派」
調査では「時々外す」も含め、半数が自宅ではノーブラで過ごしている実態も浮き彫りに。特に在宅勤務時は、36%が一日中ノーブラで仕事をしているようだ。榊原氏やキャンプCOOの鈴木愛子氏も、入浴後やサウナに入った後など、リラックスしたいタイミングにノーブラで過ごす機会が多いという。
「頻繁にではありませんが、当社の調査によると35%がノーブラで外出したことがあるそうです。過半数の女性が『できればブラをしたくない』と思っているけれど『人の目が気になる』『バストが垂れてしまうのが心配』という理由から、やむを得ず着けているのが現状かなと思います」(榊原氏)
こうした女性たちの不満は、ブラジャー市場にも大きな変化をもたらした。
「着心地重視」のトレンドを開拓したユニクロ
近年は、寄せて上げてバストラインを美しく見せる「ワイヤーブラ」が下火となり、代わりに、ワイヤー不使用で締め付け感を軽減した「ノンワイヤーブラ」や「ブラトップ」が躍進。ワコールの調査によれば、2023年度には「ノンワイヤーブラ」が「ワイヤーブラ」の市場規模を上回ったという。
このトレンドを主導したのが、2003年に「ワイヤレスブラ(ノンワイヤー)」、2008年に「ブラトップ」を発売したユニクロだ。当時は、ワイヤーブラが市場の約9割を占めていたが、多様化する女性の生き方を見据え、快適な下着が新たな選択肢になると予測した。
2011年には、従来型であるワイヤーブラの販売をやめ、ノンワイヤーブラへ一本化した。直近の製品では、体温によってじんわり伸びるパーツを使用した新構造「3Dホールド」を採用し、着心地に加えてフィット感も追求している。
当初はインナーとして登場したブラトップは、今では洋服のように着られるタンクトップやワンピースなどにラインアップが広がっている。「これ1枚で外出できる」として、2023年ごろからは海外でもトレンドになった。ユニクロによると、2024年の海外でのブラトップの売り上げは、2022年比で2倍以上になったという。
ユニクロを運営するファーストリテイリング(以下、ファストリ)は、ノンワイヤーブラに特化した戦略により、女性用下着の国内市場シェアで1位を獲得。英調査会社ユーロモニターによると、2020年には前年1位だったワコールを抜き、2022年時点でも21%で首位をキープしている。


