第75回ベルリン国際映画祭のジェネレーションKplus部門にて、特別表彰を受けた『海辺へ行く道』。子どもを題材に扱った作品が対象の同部門らしく、映画ではアーティスト移住支援をうたう海辺の街で暮らす中学生たちの、穏やかで少し不思議な日常がみずみずしく描かれる。
主人公の美術部員・奏介を演じるのは、オーディションで約800人から選ばれた原田琥之佑。撮影当時、奏介の設定と同じ14歳だったこともあり、ロケ地となった小豆島ののどかな風景のなか友人たちと創作活動に熱中したり、街の怪しげな大人たちと対等に渡り合う姿は、まるで本物の島の中学生のよう。原田自身も「島の子どもとして過ごしていた」と懐かしそうに撮影期間を振り返る。
「撮影はだいたい午前中にはじまって夕方には終わったので、その後、共演者の蒼井旬くんや中須翔真くんと一緒に近所のショッピングモールへ出かけるんです。まずは卓球をして、それから温泉に入って、ゲーセンで遊んでから晩ごはんを食べて。そして、ホテル前のコンビニでアイスを買って部屋へ帰るのが日々のルーティン。本当に島の少年の夏休みのようで、オフの時間も青春映画なんじゃないかってくらい楽しかったです」
そんな島の中学生の生活をどう表現するか。原田は奏介を演じるにあたり、等身大の自分とは違った姿を想定して撮影に臨んだという。
