大都市で大規模な地震が起こったら、どうなるのか?

■首都直下地震

 マスコミやSNSでは日々地震に対してさまざまな情報発信がなされている。気になるのが「今後、自分の住む場所でもこの規模の地震が起きるかもしれない」という危機感の薄さだ。もし今、大都市で巨大地震が起こったら、どうなるのだろうか。

 関東大震災(1923年、Mj7.9/Mw8.2)では、明治以降最悪の10万5000人が犠牲になった。東京を中心に火事による死者が9割に上ったため、揺れ自体の被害は大したことがなかったかのような報道もされたが、事実は異なる。

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 震源地は神奈川県の小田原近辺*で、揺れによる建物倒壊と土砂災害でも明治以降最悪となる1万数千人が死亡している。中でも現在の課題は首都圏の人口拡大だ。この100年で神奈川県の人口は7倍、横浜市は43万人から377万人の約9倍に激増している。
*相模トラフのプレート境界地震のため「震源地」に必要以上にこだわるのも問題といえる

関東大震災発生時に発行された、時事新報号外。実際の発行は9月2日だが、印字された日付は1日になっている

急激な人口増加…「都市の過密こそが最大のリスク」

 未曽有の関東大震災で、丹沢山系では10年余にわたって水害で土砂崩れなどが頻発したとされる。100年前は震度6弱や7の揺れに襲われても、たまたま人が住んでいなかったために災害とならなかった場所が、いまや人口密集地となっている。

 この国の人口は、明治時代の3000万人超から高度成長を経て今や4倍の約1億2000万人になっている。その多くはかつては人が住んでいなかった軟弱地盤である沖積平野の田畑や埋立地を造成した都市に密集して暮らしている。「容積率を緩和し、さらに進む都市の過密こそが最大のリスク」と識者の1人は断言する。