尿意は「気の持ちよう」でも変わる?

 尿意には心理的な要因も影響するのだろうか。伊勢呂氏は、ストレスとの関係性に言及する。

「不安やプレッシャーを感じると、自律神経が交感神経優位になり、リラックスできなくなります。そうなると、尿意を感じやすくなるんです。プレッシャーを感じたときにトイレが近くなる症状を『神経性頻尿』と言って、受験や渋滞中など特定のシチュエーションに限って行きたくなる方は、一度この『神経性頻尿』を疑ったほうがいいかもしれません」

「トイレに行きたくなるかも」という不安が、さらに尿意を煽っている可能性もあるのだ。そもそも一般的な大人はどれくらいの間隔でトイレに行くのが正常なのだろうか。

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「起きている間に8回以上トイレに行くことを『頻尿』といいます。つまり、2時間に1回より少ないペースが理想的ということですね。ですから、普通の方であれば3時間の映画をトイレに行かずに観るのは、問題ないはずです」

写真はイメージ ©Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート

「膀胱は鍛えられる」って本当?

 最後に「膀胱の容量を広げるにはトイレを我慢したほうがいい」という噂についても聞いてみた。

「あり得ないと思われるかもしれませんが、これは一理あります。普段から少しずつ排尿の間隔を延ばすようにしていけば、膀胱の容量は広がっていきます。ただし、女性に多く見られる症状ですが、我慢のしすぎで膀胱炎になることもあるので注意が必要です」

 医学的にも心理的にも、トイレの問題は奥が深い。上映中の尿意が不安な人は、餅やボンタンアメに頼るよりも、事前の水分調整と体温管理、そして“気にしすぎないこと”が、もっとも現実的な対策といえそうだ。

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