劇場版『鬼滅の刃』や『国宝』など、3時間近い上映時間の映画が盛り上がるなか、それと連動するように話題になっているのが「尿意問題」である。一度も中座せずに映画を楽しむことができるのか、不安に思う観客は多いようだ。

 SNSでは「ボンタンアメを食べると尿意が消える」など、さまざまな噂や裏技が飛び交っているが、果たしてこれらには医学的な根拠があるのだろうか? 本当に効果のある“尿意”の対処法について、泌尿器科専門医の伊勢呂哲也氏に話を聞いた。

写真はイメージ ©beauty_box/イメージマート

「ボンタンアメを食べると尿意が減る」は本当か?

 まず話題になっているのは、上映前にボンタンアメや大福を食べると、トイレに行きたくなりづらいという“都市伝説”だ。伊勢呂氏はこう話す。

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「その可能性は低いかなと思います。ただ、砂糖やお米によって血糖値が上がることで、浸透圧が上がり、水分が体に引き込まれるので、一時的に尿が出にくくなると言うことは考えられます。ですので、甘いものを食べた後に一切水やお茶を飲まなければ、多少は効果があるかもしれませんね」

 とはいえ、それも確実な方法とは言い切れないという。

「やはり一時的な現象でしかないので、泌尿器科医として『おすすめ』とは言いづらいです。また、血糖値が上がることで喉が渇き、かえって水分を摂りたくなってしまう危険性もあります」

尿意を感じにくくするための“必須アイテム”とは?

 では、医学的におすすめできる対策はあるのだろうか。

「一番有効なのは、当たり前ですが、上映前に水分をとりすぎないことです。そして、膀胱の血流を良くするために、体を冷やさないことも重要です。映画館はクーラーが効いて寒いことが多いので、腹巻きやブランケットなどでお腹周りを温めておくのがいいですね。体が冷えると血流が悪くなって膀胱が広がりにくくなり、結果としてトイレが近くなってしまいます」

 また、飲み物の種類にも注意が必要だ。

「カフェインやアルコールには利尿作用があるため、上映の2~3時間前からは摂取しないようにするといいと思います。辛いものも膀胱を刺激する作用があるので、上映中にポップコーンやホットスナックを食べるなら、優しい味付けのものを選んだほうがいいでしょう」