芥川賞作家・綿矢りさが、リニューアルする「週刊文春」9月11日号(9月4日発売)より新連載「りさは優雅に暮らしたい」をスタートする。

綿矢りさ

『勝手にふるえてろ』『嫌いなら呼ぶなよ』など話題作を連発し、現代の若者たちの繊細かつ鋭い心理描写が高い評価を受けてきた人気作家の綿矢氏。先月には著者史上最長の1300枚という大作『激しく煌めく短い命』を上梓したばかりだ。そんな綿矢氏が、欲望まみれの脳内を初めて赤裸々にさらけ出すのが今回の『りさは優雅に暮らしたい』。タイトルには作者と同名の「りさ」が登場するが、これはエッセイ? それとも私小説? 

綿矢りさ『激しく煌めく短い命』書影

 週刊誌大好き作家「りさ」は、欲望と妄想が炸裂する優雅な<虚構>の世界と、ままならない下品な<現実>の間で揺れている。JK時代は既婚子持ちの先生に恋焦がれ、大人になったら吊りストッキングとガーターベルトを身に着けてうっとりし、朝は丁寧に食事を作り夫と息子を火打石で送り出す。「りさ」はそんなキラキラした人生に憧れているが、<現実>は、芸能人の不倫記事を読んでほくそ笑み、腹も尻も覆ってくれるデカパンを穿き、朝は家庭内で誰よりも遅く起きる日々。これでいいのか……。

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 前代未聞、著者初めての試みとなる野心作の行方は――。

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