繰り返しになりますが、営業においても、型を覚えるということは非常に重要です。基本的なスキルを習得するための営業のHow to本も世の中にはあり、私も学ばせていただきました。また、そうした型で標準化することで、最小限の労力で営業メンバーを一定レベルまで育成できるので、マネージメントにも役に立ちます。
一方で、知識として学んだHow toをそのまま真似しても、その後のステップへ進むことはできません。自分で考えなければなりません。
よく言われることですが、型を習得したあとには、型どおりに進めることを捨てる必要があります。顧客に合わせた提案ができるためには、身につけた型を分解してパーツにし、必要なタイミングに必要な内容だけを組み合わせて使いこなせるようにならなければいけないのです。
マネージメントをする側としては、そのためには、メンバーに根拠(Why)から理解してもらうよう努める必要があります。
具体的なやり方を知るだけでは不十分で、考えるための原理原則となるような思考法を習得してもらう必要があります。ただこれは、抽象化力、体系化力、言語化力が求められるため教えることが難しく、メンバーが理解して使いこなせるようになるのに時間がかかるのがネックになります。
日本企業の現状
今までの日本企業では短期的に成果を出すためには、提案の質よりも成果の上がりやすい顧客を担当して数をこなすことのほうが重要視されていました。多くの企業でマネージメントはできるだけ早く成果を出すことを求められるため、真剣に長期的な育成を考える機会が少ないのが現状です。そのため、プレイヤー時代に提案の質の向上に対しての優先順位が低く、感覚で成果は上げているが、体系化、言語化せず再現性が低いままマネージメントになったという人も多くいると思います。
結果、顧客、状況に合わせた提案ができる営業が少なく、型通りの画一的な提案しかできない営業が多いという状況が生まれているのだと思います。