日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

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セブン銀出資の危うさ

 8月18日、セブン銀行(松橋正明社長)と伊藤忠商事(石井敬太社長)が資本業務提携の検討を始めると発表した。

セブン銀行の松橋正明社長。同社は今年3月にATM入れ替えが完了したばかり ©時事通信社

 セブン銀行の柱は、業界最大手のコンビニATM事業だ。セブン-イレブンの店舗を中心に2万8000台以上を設置。利用者などからの手数料が収益源で、今年3月期の年間利用件数は前年比5000万件増の10億8900万件と過去最高を記録した。3月には本人確認書類読取や顔認証などの機能を強化した第4世代ATMへの全台入れ替えも完了。マイナンバーカードの読み取りにも対応する。

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 一方、伊藤忠の子会社であるファミリーマート(細見研介社長)は傘下に銀行を持たない。多くのファミマ店舗内には、同社や金融機関など63社が出資するイーネット(高橋聡一郎社長)がATMを置くが、基本的にはアウトソーシング。自由に戦略は展開できない。しかもイーネットのATMは「現金によるQRコード決済アプリへのチャージなどができず、利便性が悪い」(関係者)。伊藤忠からすれば、出資を通じてセブン銀のATMをファミマで展開し、利便性を高める狙いがあるとみられる。

 だが、ネット銀行やキャッシュレス決済の普及が進む中で、ATM事業の将来には暗雲が垂れこめる。

 2018年に、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史前社長が、「ATMは公衆電話と同じ道をたどることになるでしょう。近い将来、無くなる運命」と語ったように、ATMの設置台数は右肩下がりが続く。

この続きは、伊藤忠とセブン銀の提携について金融関係者がコメントしています〉

※本記事の全文(約5300字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年10月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容もお読みいただけます。

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