フジテレビがお台場にやってきたのは、1997年のことだ。
1997年と言えば、まだまだテレビが元気だった時代だ。紅白歌合戦は50%を超える視聴率を記録し、フジテレビが中継した“ジョホールバルの歓喜”も50%に迫る高視聴率。「ラブジェネレーション」「ひとつ屋根の下2」といった月9ドラマも人気を博した。
もうひとつ余計なことを言えば、当時はまだ地上波でプロ野球の中継が連日行われ、安定して20%以上の視聴率を確保していた。ほんの四半世紀ちょっと前のこととはいえ、だいぶ今昔の感がある。
フジテレビがお台場にやってきたのは、少なくともテレビ業界にはまだどことなくバブルの残り香が漂う、そんな時代であった。
そしていまでも、フジテレビはそれを取り巻くあれこれの問題があろうとなかろうと、またフジテレビの番組が面白くてもつまらなくても、お台場という町のランドマークであることは変わっていない。
多少の変化はありつつも、お台場の町でいちばん賑わっている場所がフジテレビやゆりかもめを挟んでそれと向かい合うアクアシティお台場、デックスビーチ東京であるということも、変わっていない。
「お台場」と呼ばれる町は、東京湾岸の埋立地だ。もう少し正確に説明すれば東京湾埋立第13号地の北側の一角で、港区台場・江東区青海・品川区東八潮と3区に跨がるその町が、お台場だ。
お台場へと伸びる2つの路線
公共交通を使ったお台場へのアクセスは、主にふたつだ。ひとつはレインボーブリッジを渡るゆりかもめ。もうひとつは、海底トンネルでお台場の地下へと乗り入れてくるりんかい線。
いずれにしても、交通の便がスゴく優れているとは言い難い……というのが本当のところといっていい。ゆりかもめは1995年、りんかい線は1996年の開業で、どちらもフジテレビがお台場にやってくる直前のことである。
お台場の中心に向かうならどちらでも取り立てて問題はない。むしろゆりかもめは新橋発着、りんかい線はJR埼京線に直通して渋谷・新宿・池袋。そういう点ではいくらかりんかい線に分があるといったところか。
そんなわけで、ひとまずりんかい線でお台場に乗り込んだ。


