「怖い」「何で手がないの?」と言われ続け……

――高学年になって下の子が入ってくる際も、随時説明をしていた?

佐野 1、2年生って本当に好奇心旺盛なんで、「怖い」「なんで手がないの? 足がないの?」って言ってくるんですけど、そういうときは私の友だちが守ってくれました。私自身、もう言われ過ぎて、「はいはい、また来た」みたいな感覚になっていましたし、そこまで気にしませんでした。

 ただ、高学年になるにつれて、だんだんと「手も足もない自分は口で勝つしかない」と思うようになり、友だちにも横暴になっていって、“女王様”になってしまったんですよね。

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――“女王様”とは、どんな感じだったんですか。

佐野 たとえば友だちがサッカーとかバスケをしようものなら、「私できないじゃん。私が出来る遊びをしてよ」みたいな感じで、自分の行動範囲に友だちを縛り付けるような態度を取ってたんです。

 そうしたら、「もう有美についていけない。無理」と言われて、一人になっちゃったんですね。

――友だちからNOを突きつけられてしまったと。

佐野 同じ頃、お風呂で自分の全身をはじめてちゃんと見たんです。もちろん、今までもずっと見ていたはずなんですけど、まじまじと見たとき、すごいショックを受けちゃって。「私ってこんな体なの?」みたいな。

 嘘みたいですけど、自分から見た世界は五体満足の子たちばかりだったので、完全に我を忘れてたんです。

(2025年9月22日16時、本文とタイトルに一部修正を加えました)

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