「この人、生理だったことあるのかな?」夫はナプキンの着脱介助がとても上手
――最後まで助けを借りずに、一人で完結できるようになっている?
佐野 足でちぎって丸めたトイレットペーパーを踏み台の上に置いて、その上にお尻を乗せて拭くので、すべて処理できますよ。
ただ、外出先では夫や友だちに手伝ってもらわないと難しいですね。その点、夫は交際しているときからスムーズに介助をしてくれたので、本当に感謝しています。
――一番頼みにくい部分ですよね。
佐野 トイレの介助は同性の人にしか頼んだことがなかったし、好きな人にしてもらうのはめちゃくちゃ抵抗があったので、皆で遊びに行ったときは夫にバレないよう、友だちにこっそりお願いしてたんです。
でも、それに気づいた彼が、「俺に言ってよ」と言ってくれたのでこわごわお願いしたら、めちゃくちゃスムーズに介助してくれて。「生理もナプキン全然替えるし~」みたいなノリだった上に、ナプキンをつけるのもめちゃうまくて、「この人、生理だったことあるのかな?」と思うほどでした(笑)。
今までで一番「手が欲しい」と思った瞬間は……
――「手足がほしいと思うことがありますか」と質問をされることもあるそうですが。
佐野 そりゃあ、ありますよね(笑)。小さいときは皆と一緒に走ったり、自転車も乗ったりしたかったですし。
でも、一番「手が欲しい!」と思ったのは子どもを生んでからですね。娘をこの手で抱っこしたい、というのは今も思います。
――出産前から、育児についていろんな準備をされたそうですね。
佐野 妊娠前から、社会福祉協議会や子育て支援センターなどに行って受けられる支援を確認して、どうやったら子育てができるか、たくさんリサーチしました。
妊娠後も、保健センターで赤ちゃんの人形を借りて何度もおむつ替えの練習や授乳方法を考えて、自分なりにできる育児を模索していった感じです。
――お子さんを持つにあたって心配だったことは?
佐野 育児全般もそうですし、最初は先天性四肢欠損症が遺伝する可能性があるかも気になりました。やっぱり私自身、いろいろと苦労もあったので。あと、そもそも、私は妊娠できるのか?ということも含めて、お医者さんに相談して。
そうしたら、障害が遺伝する可能性は低いこと、私も夫も問題なく妊娠できる力があることがわかったので、いろいろと準備を進めていったんです。
――妊娠がわかったときの心境は。
佐野 妊活をはじめて1年くらい子どもができなくて、生理がくる度、「障害がある私はやっぱり妊娠できないのかも」と落ち込んでいました。
コウノトリキティちゃんのストラップを夫婦でつけたこともありましたね。このストラップはコウノトリのくちばしが折れると妊娠するっていうジンクスがあるんですけど、3カ月くらいで折れて、そこからしばらく時間はかかったけど、自然妊娠できて本当に嬉しかったです。

