チャーチルも絶句した巨大戦艦の最期
その「パイレーツ・オブ・カリビアン」の時代から7つの海を制し、日沈まぬ大英帝国の皇太子の名を冠する最強の「戦艦」が日本と米英との開戦3日目の1941年12月10日にマレー沖で帝国海軍の96式、および一式陸攻の空襲で撃沈させられてしまい、航空機だけでの攻撃で戦艦は撃沈できないという当時の海戦の常識を覆してしまったのである。
この一報に触れ日本側で一番驚いたのが、航空機の海戦での有効性を早くから説いていた連合艦隊司令長官、山本五十六その人であり、英国首相のチャーチルは絶句したという。
なおこの時、プリンス・オブ・ウェールズとともに日本軍機により撃沈させられた重巡洋艦「レパルス」との合計死者数が840名と比較的少なかったのは、日本軍機が艦隊護衛の英駆逐艦による救助作業を妨害しなかったからである。日本軍機は対空戦闘力が低い駆逐艦隊にも攻撃でき、戦果拡大、手柄を立てられたのにもかかわらずである。
そのあたりが戦艦大和が撃沈され乗員3332名のうち2740名もが戦死した際や、学童疎開船「対馬丸」を執拗に攻撃し784人の学童を含む1484人が犠牲なった際などの米軍の非人道的攻撃と違い、帝国軍人にシーマンシップや武士道がまだ活きていた証左であろう。
日本の安全は守れるのか
日本を取り巻く大国の独裁者たちが9月3日、北京に一堂に会したのはご存じのとおりである。それらの大国はウクライナに侵攻したロシアを支持するばかりか兵まで派遣し、ウクライナの民を殺戮しているだけでなく、日本の安全をも脅かしている。
太古の昔から侵略者の興味は破壊と殺戮、そして略奪しかない。いやいやむしろ戦場に浪漫を求めることがナンセンスである。
本空母プリンス・オブ・ウェールズは9月2日東京出港後、海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」とともにマレーシア沖に向かい、共同訓練を続けながら、84年前から深海で眠る日英両軍将兵のための合同慰霊祭も行う予定であることは忘れず記しておきたい。
撮影=宮嶋茂樹
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