甲板に英国軍人がズラリと並ぶ「登舷礼」

 ちなみに空母の要ともいえるカタパルトだが、米英のみが蒸気カタパルトを製造できるノウハウがあり、リニアのような電磁カタパルトは就役中のものに限ると米原子力空母「ジェラルド・R・フォード」1隻にしか搭載されていない。なお、中国3隻目の空母「福健」は電磁カタパルトを搭載していると報じられているが、まだ試験航海中である。ロシアにいたっては「アドミラル・クズネツォフ」1隻だけでももてあまし、ろくに出港すらできない有様である。

 それくらい空母を運用するのは難しく、かつ金がかかり、それをまともに運用してる国は核保有国より少ないくらいである。

 

 ひときわ高く跳ね上がったそのスキージャンプ台の先端から左右両舷まで、濃紺のセーラー服や海兵隊の迷彩服が直立不動である。これぞネイビー対ネイビー同士で入港国に最大の敬意を示す「登舷礼」である。

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 それにしても、東京湾内で揺れないからといっても、あんなに足下が滑りそうなジャンプ台の端っこで命綱も付けんで……って付けてるんやろか……危ないんちゃうかと心配になったんはわしだけやろか。

 
 

 艦首を湾内のレインボーブリッジに向けたまま、ゆっくりと東京国際クルーズターミナルに近づく。その背後で東京入港を歓迎するかのように、羽田空港から飛び立つ民間機が上空を通過していく。

 

一般公開イベントは艦船ファンや家族連れで鈴なりに

 海上自衛隊横須賀音楽隊と英王立海兵軍楽隊の奏でる「サンダーバード」の調べに乗って、この英国皇太子の名を冠した空母は首都東京の港に接岸を果たした。

 入港後は齋藤聡海上幕僚長、中谷元防衛相、ジョン・ヒーリー英国防相夫妻ら日英両国防相臨席のもと、プリンス・オブ・ウェールズ艦長ウィル・ブラケット大佐、CSG司令官ジェームス・ブラックモア准将が指揮を執る英空母クルーらはホストシップとなる海上自衛隊護衛艦「むらさめ」の乗員らとともに入港歓迎式典に臨んだ。

 

 入港中は4万人のなから抽選で選ばれた運のいい90名に艦内も「一般公開」され、ターミナルもこの双頭の英空母を一目見んと多くの都民いや日本中から駆けつけた艦船ファンや家族連れで鈴なりになった。