カークについての発言により、複数のジャーナリストや教職員などが解雇/停職となっている。
ニュース専門ケーブルTV局の中で最もリベラルなMSNBCのベテラン・ジャーナリスト、マシュー・ダウドは「憎しみに満ちた思考は憎しみに満ちた言葉につながり、憎しみに満ちた行動につながる」と言い、即日解雇された。当人に加え、MSNBCのCEOが謝罪を行うこととなった。
フロリダ州のニュースサイトの記者は、事件直後に同州の下院議員に銃規制についての質問をテキストメッセージで送った。「カークが撃たれたことは大学構内での銃の携帯に対するあなたの立場に影響するでしょうか? 銃規制が実施されていたら、この悲劇は避けられたでしょうか?」。議員は「カークが撃たれたと23分前に知ったところだ。誰もが彼の生存を祈るべきときに、政治的な質問をすること自体に嫌悪感を覚える。二度と連絡するな」と返信し、スクリーンショットを公開。記者は停職となった。
DCコミックスは、バットマンのスピンオフ作品「Red Hood」の作者がカークの死について「不快」なコメントをポストしたとして新刊の発行を中止。事務用品の大手チェーン店オフィスデポでは、マネージャーがカークの追悼式用の顔写真入りポスターのコピーを「政治プロパガンダ」として拒否。マネージャーは解雇され、本社が謝罪声明を出した。
さらに全米各地の学校や大学の教職員が少なくとも7人、解雇または停職となっている。保守派として知られるフロリダ州知事のロン・デサンティスは同州の教職員に対し、カークの死にまつわる「不快」な発言は制裁の対象とすると警告を発した。
トランプ大統領は“異例”の対応を
事件当日、トランプ大統領はホワイトハウスからカークの死についての声明を発した。
「長年にわたり、極左の者たちはチャーリーのような素晴らしいアメリカ人を、ナチスや世界最悪の大量殺人犯や犯罪者と比較してきた。こうした言説こそがわが国で見られるテロリズムの直接的な原因であり、今すぐに止めなければならない」
また、トランプは全米各地の米軍基地や大使館で半旗を掲揚することを要請。カークは民間人であり、異例のことだ。
下院議長マイク・ジョンソンは議事堂内の全員に起立を求め、カークへの黙祷を行なった。
暗殺事件の翌日は9月11日であり、トランプは国防総省での9.11同時多発テロ事件追悼式典に出席。そこでカークに文民最高位の勲章である大統領自由勲章を授与すると発表。
副大統領のJDヴァンスはニューヨーク市のグラウンドゼロでの9.11追悼式典に出席予定だったがキャンセル。暗殺が起きたユタ州に赴き、副大統領専用機エアフォース2にカークの遺体を収めた棺を乗せてカークの自宅のあるアリゾナ州への護送に同行した。
この日、クリストファー・ランドー国務副長官は、米国在住の移民による「暴力や憎悪を賛美」するポストを見かけた場合は国務省に通報するよう、Xで呼びかけた。
チャーリー・カークの暗殺によるトランプ大統領および政権と、リベラルな市民との分断は一体どこまで進むのか。
(敬称略)
