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なぜ女性同士の恋愛を描くと大長編になるのか
――綿矢さんが女性同士の恋愛を描いた、上下巻の『生のみ生のままで』を超える、本作は大長編となりました。女性同士の恋愛を描くと、物語が長くなる傾向があるのでしょうか。
綿矢 何でしょうね(笑)。おそらく心の動きを二人分書いていると、「もっと丁寧に書かないと、お互いがどうして好きになったか伝わらないんじゃないか」って思っているうちに、どうしても長くなってしまうんです。さらに今回は、第一部が中学生時代ということで、学校行事だったり家庭内の出来事だったり、時間の流れ方が大人の頃よりもゆっくりなこともあって、すごく枚数が必要になりました。
――いわゆる異性愛を描く時との違いはありますか?
綿矢 異性愛を書く時は、女性の主人公が相手の男性をちょっと偶像的に見て、恋焦がれるということが多いんです。でも、女性同士の恋愛になると、相手を神格化するよりは、もっと友達のような目線ではじまって、だんだん距離が近づいて恋人になる、というスタイルがあるみたいですね。
今回も二人は友達同士みたいな感じからはじまり、お互いのことを好きになっていきます。自分が恋愛小説の読み手の時も、じわじわ距離が近づいていくところを読みたいタイプなので、そういうところは書き込んだ方が、読み応えがあるかなと思って書いています。
