新宿駅に貨物列車が走る時間帯とは?

 朝から夜までは通勤電車や旅客列車の時間で、貨物列車は早朝深夜に走っている。実は新宿駅も貨物列車が走る時間帯がある。

『貨物時刻表2025年3月改正版』によると、午前3時頃に名古屋発・仙台行きと西浜松発・札幌貨物ターミナル行き、早朝5時過ぎに名古屋発・八戸行きのコンテナ貨物列車が設定されている。また、午前3時台には根岸発・宇都宮貨物ターミナル行き、午前5時台に川崎貨物駅発宇都宮貨物ターミナル行きの石油タンク列車もある。ただしタンク列車は臨時列車だから、走らない日もある。

 子どもに見せたいなら、午後3時台に東京貨物ターミナル発・高崎操車場行きの貨物列車がある。これも臨時列車で、日中に新宿駅で貨物列車を見られたらかなりラッキーと言えそうだ。

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早朝の新宿駅にやってきた貨物列車(2010年に筆者撮影)

 もちろん逆方向も設定されている。午前3時頃と5時台に宇都宮貨物ターミナル発・根岸行きの臨時コンテナ列車がある。これは石油を運び終わった空っぽのコンテナを根岸駅に返す列車だ。お昼の12時頃には札幌貨物ターミナル発・名古屋貨物ターミナル行きのコンテナ列車、午後3時台に高崎操車場発・東京貨物ターミナル行きの臨時コンテナ列車がある。

 ダイヤの時刻が曖昧になっている理由は、貨物時刻表では新宿駅が「通過扱い」になっているから。新宿駅付近のルートは湘南新宿ラインと同じで、北行きの場合は大船方面から大崎駅、新宿駅、池袋駅を通り、駒込駅を過ぎたところで山手線と分かれて東北貨物線(東北本線の貨物専用線)に合流して大宮方面に向かう。南行きはこの逆だ。

 東北貨物線は田端信号場駅と大宮駅を結ぶ線路で、貨物列車を目撃しやすい。ここから東に田端貨物線があって、南千住まで常磐線と併走すると、南千住駅の南側に隅田川貨物駅がある。常磐線や東北本線の貨物列車が集まる場所だ。

東京近郊の貨物列車運行路線。都心を通過する列車は少なく、ほとんどの列車が武蔵野線を迂回する(地理院地図を元に筆者加工)

「客貨分離」とは?

 都心で貨物列車を見かけない理由の2つ目「客貨分離」とは、旅客列車と貨物列車が共用している線路で、新たに貨物線を建設して運行を分離することを指す。戦後の好景気以降は旅客列車も貨物列車も増えたことで「新たに線路を作って貨物列車を移してしまおう」となったわけだ。

 先ほど紹介した東北貨物線が、これに当たる。そして、大崎駅から駒込駅付近まで、湘南新宿ラインが走る線路も、もともとは「山手貨物線」といって、山手線から貨物線を独立させた線路だった。