ラーメンの写真“丼顔”を見ると味を思い出せる
――これまでさまざまなタイプのラーメンを食べてこられて、その味ってひとつひとつ覚えているものなんですか?
SUSURU 僕が勝手に“丼顔”と呼んでいるんですが、器に盛られたラーメンの写真を見るとだいたい思い出します。特に好きなお店なんかは鮮明に。瞬間的に、あの時こういう味だったなとか、すべてが蘇ります。お店の看板とか店内の雰囲気とか、すべてですね。
――食べたときに瞬間的に戻れる、ような。
SUSURU そうですね、世界観がそこに飛べる、みたいな。行く前にも食べログとかを見て予習して、実際に食べて、食べ終わってからなるべくすぐに動画のナレーションで読んでいる原稿の下書きみたいなのを作るんです。つまり予習、実践、復習が全部できている。覚えておくためにそうしているわけじゃないんですが、結果として定着しますよ、記憶が。
だから、閉店したお店とかもあるんですけど、丼顔を見たら思い出して食べたくなったりもします。
「最初の味を超えてきたな」というお店も
――同じお店にも繰り返し訪問されています。店が変わらなくても、味が変わることってあるんですか?
SUSURU ありますあります。それがある意味面白かったりするんです。上振れ下振れがあって、上振れを引いたときはもう感動ですよ。そのお店の最高点ですから、忘れられない。もちろん逆もあるわけで、脂っぽくて食えたもんじゃないな、みたいな(笑)。それが同じ店の同じ店主から出てくるんだから、ラーメンって面白いんです。
そもそも毎日高いレベルで同じクオリティのおいしいラーメンを出すのは本当に難しいんです。それを実現できるのは、本当に限られた店。味をリニューアルしたときとかは、どうしても多少のふらつきが出てしまいますしね。
――そうか、お店も長く営業している中で、味を少しずつ変えたりもしますよね。
SUSURU 間を置きながら定期的に行くとわかります。それがプラスになることもあれば、マイナスになることもあって。初めて行ったときがいちばんいい印象だったお店もありますし、塗り替えてきて最初の味を超えてきたな、というお店もありますよ。
自分でもラーメンを作っているので、お店の人にはリスペクトしかないですね。僕は1週間やるだけでも大変で、味見をしすぎて何が正解か迷子になったりしているのに、何十年と続けている人もいるわけですから。その中で味をちょっとずつ変えていったりしつつ、お客さんを喜ばせ続けている。これは本当にスゴいことです。

