「かわいい子だと思い、以前の手口で呼び出してしまった」

「ヤクザの復讐組織」をかたることで、27人の女性を騙し続けた犯人男。中には6年間、お金も体も差し出し続けた女性も……。同事件はなぜ発覚したのか? 犯人男のその後とは? 2014(平成26)年におきた事件のその後をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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「名前と電話番号を5人書け」

 純子さんはそれまで1回しか性体験がなかったが、止むを得ないと思った。金沢に命じられるまま、性行為に応じた。金沢は「これはお前を助けるためだからな」と言いながら、2回も強姦した。

 行為が終わると、純子さんは釈放されたが、「組織から解放されるまでは、あと6回会わなければならない」と告げられた。

「お前が信用できる人間かどうか調べる必要がある。彼氏や友達とのメールの内容、電話の内容、1日の行動を書いて持ってこい。それをこっちで調べた内容と照合する」

 純子さんは金沢の話を頭から信じ込んでいたので、毎日律儀に書いた。再会の日、ラブホテルに連れ込まれ、そこで内容をチェックされ、「ブラックオールのことは誰にも言いません。もし誰かに言ったら、何をされてもかまいません」という誓約書を書かされた。

「考えてみれば、お前も気の毒な奴だな。何もしていないのに巻き込まれたんだからな。誰か身代わりを差し出せば、お前を助けることも出来るんだが……」

「そ、それはできません……」

「やっぱりお前はいい奴なんだな。じゃあ、絶対に手を出して欲しくない友人や知人の名前と電話番号を5人書け。組織に依頼があった場合、その5人については守ってやる。オレにしてやれることはそれぐらいしかないからな」

 純子さんは実姉や親友の名前などを書いた。「ただし、組織の秘密を漏らしたら、この5人に何をしてもかまいません」という誓約書も書かされた。

 こうして純子さんは金沢の支配下に置かれた。メアドを交換させられ、一日の行動をすべて報告するように命じられた。