現場食堂で磨かれた技
職人さんたちは朝、現場に来て立ち食いそば屋で食べて目を覚ます。そして仕事の休憩時や昼になるとまた食べにくる。しかも「天ぷらそば」と「かつ丼」や「カレーライス」のセットをガッツリ食べる若い人たちでごった返す。昼は嵐のような混雑になるので、入船さん達は手際よくセットメニューを作っていく技を磨いてきたというわけである。
工期が終われば食堂は閉鎖になるが、また別の建築現場ができればそこに出店する。そうすると同じ職人さん達がまた新しい現場にくる。店員さんもその現場に移動するので、職人さんと再会して大いに盛り上がったりすることもあるという。
株式会社エコシステムズ・ジャパンのような建築業兼任で飲食店を経営する会社のニーズが高いということは一般にはあまり知られていないのでとても面白い。
「名代江戸一」に置いてある建築現場用の器具のユニークな使い方
さて、最後に「名代江戸一」が建築現場の食堂を運営している人達が経営しているとわかるユニークな写真を紹介して取材を終わろうと思う。店内には椅子が置いていない。しかし、お年寄りや家族連れの子供さんが来た時、ある道具が簡易椅子に変身する。それが脚立である。現在4つ用意されている。
脚立を開いて設置してトップのところに座って踏み台が足置きになるというわけで、なかなか評判がいいそうだ。これはナイスアイデアだ。
「名代江戸一」は旗の台の街中にひっそりと佇んで営業している。味も洗練されており、客層を選ばないメニューがそろう。しかし、その背景に建築現場の食堂で培われたノウハウが隠されているというのがなんとも素敵である。開店を聞きつけて、現場の職人さんが食べに来てくれることもあったという。
いい話である。次回は脚立に座って「かつ丼セット」を注文してみようと思う。
INFORMATION
「名代江戸一」
住 所 東京都品川区旗の台2-7-3
営業時間 6:00~20:00
定休日 水曜日

