大衆・立ち食いそば屋には色々な種類がある。筆者が書いた『ちょっとそばでも』(廣済堂出版、2013)では以下の様に12種類に分類している。

■鉄道系 JR 各線、私鉄各線など。関東、北海道、長野、大阪などに多い。
■門前系 神社お寺などの周辺。
■街道系 ドライブインなども含め、独自の発展。江戸時代までは発展していた。現在は府中・川崎街道や中山道、厚木街道(国道246号)などに点在する。
■工場地帯系 工場などの至近の地域でひっそりと営業する。独自の味。鶴見、川崎など。
■娯楽系 パチンコ屋、集合施設などに併設している。
■ギャンブル系 競馬場、競艇場、競輪場、場外馬券売場など。
■建築工事系 大型建設工事とともに現れ短期で消えるはかない系。
■波止場ターミナル系 横浜大桟橋、金谷など。かつては沢山あった。羽田空港も。
■公的機関系 市役所や役所の食堂に存在するタイプ。学食なども含まれる。市場なども含められる。
■公園系 東京町田の薬師池公園、葛飾区の水元公園近くなど。
■頂上系 山の頂上の茶屋など。高尾山、丹沢大山など。
■街中系 駅から職場の間に点在する。東京近郊で特に多い。

 鉄道系は駅そばとしてポピュラーだし、街中系は名代富士そばなどの駅前チェーンや個人店など店舗数も多い。

旗の台の「名代江戸一」に訪問

 さて今回は、この分類の中でも、とても珍しい建築工事の立ち食いそば屋・食堂を運営するプロが始めた立ち食いそば屋を紹介する。一般世間に漏れ伝わってこない話を聞くことができて有意義な取材となった。まずは実食レポートから始めよう。

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 店は東急旗の台駅から歩いて1分程のところにある「名代江戸一」である。場所は池上線の昭和医科大学へ行く東口改札を出て道なりに進み、イオンタウン旗の台先を右折し少し進んだ左側。たしか、2010 年頃よく行っていた「でら打ち」という名古屋うどんの店があったところだ。

「名代江戸一」は旗の台の路地裏でひっそり営業している

「名代江戸一」は2025年8月18日に開業したまだ出来立てのほやほや。店内はほぼ居抜きだというがシックで落ち着いた雰囲気である。