山間部に位置し、現在あまり使われていない倉庫や工場といった施設は、クマの出没に備えたほうがいいかもしれない。
「高尾山周辺では、決して多いわけではないが、例年クマの目撃情報が寄せられている。前述の通り一般論としてクマは人の気配を避けるため、積極的に登山客を襲ってくる可能性は低いと考えるが、高尾山などの山に登る場合は、クマ鈴やスプレーの携帯など、一定のクマ対策が必要。東京都では登山客に対して、クマの危険性を警告するチラシを配布したり、TOKYOくまっぷによる目撃情報の発信にあたっている」
クマによる被害に遭わないために
都内近郊でも、神奈川県伊勢原市の大山ケーブルカー駅付近で8月17日、ツキノワグマの成獣が出没。大山阿夫利神社への参拝ルートとあって、観光客や参拝客ら100人ほどが一時足止めされたという。
同じようなことが高尾山でも発生する可能性は否定できない。標高約600メートル、新宿から約1時間と、気軽に登れる高尾山ではあるが、「東京都内だから大丈夫」などと軽く考えず、クマ対策をしっかり行って登山することを強く推奨する。
東京都ではほかにもクマが生息している6市町村と共同でクマ対策を実施しているという。草刈、誘引物の除去、電気柵、見回り・追払い等の対策を委託事業として行っているほか、クマの連絡会議の開催や警察との共同訓練も実施したとのこと。
クマによる被害にあわないためには、安易に「東京は安全」などと思わず、個人レベルでしっかり対策する必要があるだろう。
ライター、作家
1977年富山県生まれ。東京大学卒。新聞社系出版社などを経て独立。Web編集者としてヒグマ関連記事を多数手掛ける。
