バフェット氏には倹約に関するエピソードが尽きない。

マイクロソフトを創業した、やはり世界有数の資産家のビル・ゲイツ氏と香港に行った際、バフェット氏が食事をごちそうしてくれるといったところ、なんとマクドナルドだったそうである。しかも、支払うときに割引クーポンを使ったそうだ。

一方で、バフェット氏は投資だけでなく、長年、巨額の寄付を行っている。2024年6月には53億ドル(約7950億円)の寄付を行い、累計では570億ドル(約8兆5500億円)に上る。また、遺言では財産の99%を寄付するように命じている。

ADVERTISEMENT

倹約とメリハリの利いたおカネの使いかた、そして天才的な投資の腕前で世界有数の資産家になった。

「億り人」も夢じゃない

アメリカは日本より裕福な印象がある。でも、それは日本のメディアなどに登場する人が政治家、企業のトップ、俳優など金持ちだから。

FRB(連邦準備制度理事会、アメリカの金融政策を決定する機関)が2018年に発表した調査によると全米の世帯の4割が、400ドル(約6万円)の急な支出を準備できないと回答した。物価は高騰して家賃も払えない人が続出。2023年のアメリカのホームレス数は約65万人(日本は約2800人)にも上る。だから、億万長者になること自体が大変なのだ。

その点、日本の方がまだ格差は少ないし、物価は値上げが増えているとはいえアメリカほど高騰していない。それに長期投資を手助けする制度が続々と整ってきている。

正しい知識と行動をすれば、アメリカをはじめとする他国よりも、普通の人が億り人になれる可能性は高い。

「金持ちは意外と普通の生活をしている」ので、それを見習うことが資産形成の第一歩だ。

東山 一悟(とうやま・いちご)
個人投資家
1991年筑波大学卒業後、メディア企業で勤務。20年に戦力外通告を受け同社を退社。投資を続けてきた結果、総資産は2億円を突破。現在は中小メディア企業に勤務しながら、投資に関する情報等を寄稿。
次のページ 写真ページはこちら