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「最初のうちはヒモでした…」元お笑い芸人の投資家(38)が年収3万から運用益50億円のトップに上るため磨いた「究極のコスパ感覚」とは

「最初のうちはヒモでした…」元お笑い芸人の投資家(38)が年収3万から運用益50億円のトップに上るため磨いた「究極のコスパ感覚」とは

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「井村銘柄」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 この言葉は、かつて「ザ・フライ」というトリオ名で人力舎に所属し、キングオブコントで準決勝に進出したこともある元お笑い芸人・井村俊哉さん(38)が保有する株式銘柄のことをいう。井村さんの株の売買が経済ニュースに取り上げられるなど、動向はプロから素人まで投資家たちの注目を集め続けている。ツイッターフォロワー数も現在19万人以上に達する。

 これほど注目されるのは、「元お笑い芸人」という肩書きながら、運用益の累計が驚きの50億円以上と、個人投資家としては日本でトップクラスの実績を残しているためだ。芸人生活と並行して投資を本格的に始めたのは2011年で、当時の年収は3万円だったという。どのようにして10年強で貧乏生活を抜け出し、“億り人”を大幅に上回る実績を築き上げたのか――。

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井村さん ©文藝春秋/撮影・末永裕樹

 井村さんに話を聞くと「異色の経歴」という簡単な言葉だけではとても片づけられない、投資家としての徹底的にシビアな“コスパ感覚”が見えてきた。

◆◆◆

数百円の中古ゲームソフトを磨いて3000~4000円で売る

――井村さんが投資に目覚めたきっかけは何だったのでしょうか?

井村俊哉氏(以下、井村) 今思えば、水戸で過ごした中・高校生の頃に取り組んでいたセドリが投資の原体験でした。中古ゲーム問屋の価格差に着目し、販売が安い店で買って、買取が高い店で売り、鞘を抜くのが基本戦略です。利幅が取れる必勝法が、ディスクに傷がついてジャンク品になっている数百円のゲームソフトを買い、ピカピカにできる機械を持っている中古屋のおっちゃんに、他のソフトを買い付けるなどの交換条件で磨いてもらうというもの。すると、ほぼ新品の見た目になり、3000~4000円で売れるんですよ。

 マンガの単行本やCDは単価が小さいから大して儲けがでない。手間やストレス、時間など金銭以外の投下コストも考えると、コスパ悪いなと思っていました。アルファ(超過収益)を意識していた点も株に通ずるところがありましたね。

――子供の頃からコスパを意識していたんですね……。

井村 たぶん遺伝子レベルでそういう性格なんだと(笑)。父は化学の研究者で物事を突き詰めて分析する性格、母は金銭感覚にシビアでコスパに厳しい性格でした。そんな2人の特徴的な性格を受け継いだのが自分のようで、今では朝5〜6時に目覚めて夜10時前後に寝るまで、ほぼ株のことしか考えない生活を送っています。ただ、中学生の時は部活でテニスを頑張ったりと、普通の学生らしいこともやっていました。

井村さんのツイッターより

――井村さんのキャリアにも、コスパ重視という考え方は影響していたのでしょうか?

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