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個別株投資で成功するのは5%、残り95%は損して終わる

――でも、誰もが井村さんのようになれるわけではありませんよね。

井村 自分がやっているような裁量を利かせる個別株投資に向いている方は、感覚で申し訳ないですが、全体の5%ぐらい。夢を持って始めても、多くの人は損して終わってしまう厳しい世界です。ただ、学習してできるようになる部分も大いにあって、例えば「風邪をひいても骨折しても3年間はこれを続けてください」という自分の指示する“修行”を本当にやり切れるのであれば、5%には入れると思います。

 ただ、5%に入れるような頭を使える人は、言われなくても自分で勝手にノウハウをあみだしていくと思いますが……。あと、勘違いして欲しくないのが、長期・積立・分散、のような裁量のいらない投資には、全ての人に取り組んでもらいたいです。資本市場の平均的なリターンが勉強しなくても手に入りますので。

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©文藝春秋/撮影・末永裕樹

――老後に備えて将来に不安を持つ若者も多いと思います。投資家として何かアドバイスはありますか?

井村 まず大前提として、始めてすぐは負けることを覚悟して欲しいと思います。そのうえで、投資を始めるなら若いうちが良いと思います。思考が硬直化していないという理由もありますが、「負けられない戦い」をしなくて済むからです。若いうちは例えば20代前半なら貯金といってもたかが数十万とかですよね。失敗して全部失っても、また働いて稼げばいい。ただ60代で退職金を元手に始めようとすると、例えば最初に5千万あって「300万で投資をやるか」となるじゃないですか。それが350万に増えて「これいけるんじゃね?」となり、元本を500万円に増やす。すると、今度は100万円失い、「儲かった以上に負けちゃった、まずいな」となり元本を倍の1千万にする。結果、元本の多くを失う可能性もある。でも若者は無い袖は振れないので、リスクは少ない。後で始めたくなるリスクをヘッジする意味でも、始めるなら若いうちがオススメです。

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 文字通りの「倍々ゲーム」を繰り返し、年収3万円だった芸人時代から、2017年には株の利益が1億円を突破。昨年は逆風下で軒並み投資家が苦戦するなか、井村さんの利益は50億円を突破した。大金持ちになり、さぞや豪勢な生活を送っているのかと思いきや、生まれついての「コスパ重視」は全く変わらないようだ。(#2に続く)