世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が9月23日未明、韓国検察によって逮捕された。尹錫悦(ユン・ソンニョル前大統領の妻・金建希(キム・ゴンヒ)夫人の疑惑を捜査している特別検察官(特検)チームが、韓総裁に政治資金法違反、請託禁止法違反、業務上横領などの疑いで逮捕状を請求。裁判所が証拠隠滅の恐れがあるとして令状を発付したのだ。

 1954年の創設以後、世界的に強大な影響力を行使してきた旧統一教会だが、日本での解散命令に続いて本拠地の韓国で教主が逮捕されるという、前代未聞の危機に直面している。

「マザームーン」とも呼ばれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁 ©時事通信社

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17歳で文鮮明氏と結婚、14人の子どもを産んだ

 1943年、北朝鮮で生まれた韓氏は、朝鮮戦争当時、母親と一緒に韓国へ来た。看護専門学校に通っていた14歳の時、統一教会に入信して文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁(当時)に初めて出会い、1960年、17歳の時に23歳年上の文氏と結婚、7男7女を産んだ。

 2012年の文氏の死後、息子たちとの激しい権力闘争の末、統一教会の2代総裁の座に上り詰めた。以後、自身を「独生女」と称して、「独生子」と呼ばれるイエスのように人類を救済するメシアであることを自任してきた。

統一教会創始者の文鮮明氏(2012年死去)と妻の韓鶴子総裁 ©時事通信社

米国内の資産を息子に奪われ…

 しかし、統一教会から追い出された七男と三男がそれぞれ新しい団体を設立したことで統一教会内部が3派に分かれ、勢力が弱まった。特に、米国内の統一教会資産の8割を三男に奪われたことで財政的にも大きな打撃を受けたといわれている。