「株式会社自分」という発想

 番組のテーマでもある「いつでも会社を辞められる自分」になるための心構えについて、黒田氏は独特な視点を提示した。

「個人と会社が契約をしていて、個人は株式会社自分として、どんな価値を発揮できるかということを会社と契約して給料という形でもらっている」。この意識を30代ぐらいから持つことで、身柄を預けて給料をもらっているのではなく、価値提供の契約をしているという感覚が身につく。

 実際、フリーランスとして独立することのハードルは以前より大幅に下がっている。「経営相談に乗ります、営業をお手伝いします、忙しい月の経理の決算をお手伝いします——経理課長をやってきた方だったら、それを月5万、10万でやりますみたいな契約をいくつも取れる」と黒田氏は説明する。

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 副業ブームやスキルシェアサイトの普及により「こんなフリーランスがやりやすい時代は今までなかった」。しかし多くの人が「会社に雇われないと生きていけない」「独立することは危険だ」という思い込みに縛られている現状がある。

 

市場価値は自分で決める

 最後に黒田氏は、転職やフリーランスで成功するための重要な心構えを語った。「私の市場価値を知りたい」という相談をよく受けるが、「どの市場で自分を売るかを決められていない」人が多いという。

「肉の市場なのか魚の市場なのか野菜の市場なのかで当然違う」。自分が売りたい値段の見立てもせずに市場に出ると「向こうのいい値で安く買い叩かれる」ことになる。

「私をいくらで買ってくれますかではなく、私はいくらです、なぜならこれだけの成果を出せるから」——この発想の転換こそが、40代以降のキャリア形成においてもっとも重要な要素なのかもしれない。

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