しかし、国交省の調査では、リースバックで自宅を売却した場合、買取価格は一般的な相場の「6~7割」と回答した事業者が最も多いこともわかっています。というのも、物件の所有者となった不動産会社は基本的に再販を目的としているため、リフォーム代などを見越した値付けをしていると思われます。また、同調査では、事業者はリースバック期間中、賃貸以外の運用ができないことを踏まえると、利回りなどを考慮した価格査定を行っているのではないか、とも推測していました。

約6万円の家賃が約11万円になった事例も

さらに、業者によっては市場価格に比べて極端に低い価格を提示してくるケースもあり、国民生活センターが公表した事例では、認知症の親を持つ子どもから、「自宅を400万円で売却し、月額家賃4万円のリースバック契約をしていることを聞いた。父は以前から認知症の疑いがあり、自分の住所も書けない状態であった。自宅を取り戻したい」といった相談例が挙げられていました。

国民生活センターは、リースバックの相談を寄せた契約当事者の約7割が70歳以上の高齢者であることを特徴として挙げています。

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そんな高齢者につけ込む悪徳業者の中には、朝から晩まで執拗に勧誘し、判断能力を奪った上で契約をさせるケースも報告されています。

「朝10時から夜10時過ぎまで長時間勧誘された。考えさせてほしいと言ってもしつこく話をされ、仕方なく契約書にサインをしてしまった。後日、親族に『売却価格が安い。よく考えた方がいい』と言われた。解約しようと担当者に連絡したが、『手付金50万円の返金に加え、違約金50万円を支払うように』と言われた」

国民生活センターの報道資料より)

そして、売却後の「家賃」がトラブルになりやすい点も、リースバック契約で気をつけたいポイントです。

「自宅マンションのリースバック契約を結び、約1,600万円で売却した。不動産業者からは『自宅にはそのまま住み続けられる。家賃は約6万円』と言われ、それなら支払えると思い承諾した。3年後、約6万円だった家賃が突然約11万円と高額になった。不動産業者からは『3年経過後は家賃が上がることはリースバック契約時に説明している。家賃が払えないのであれば早急に退去してほしい』と言われたが、よく覚えていない。自宅売却金はすでに生活費で使ってしまい、これ以上家賃が払えない。今後どうしたらよいか」