(国民生活センターの報道資料より)
家賃の取り決めをめぐるトラブルも
上記の事例のように、賃貸契約における最も重要な家賃の取り決めについて、契約者の理解が曖昧だったり、業者側の説明が不十分だったことで、突如、住み続けることが困難となる事態が相次いでいるとのこと。
先程も取り上げた国交省の調査では、「賃料については物件の売却金額を踏まえて決めている」という事業者が43%と最も多くなっており、修繕費用についても、民法上では貸主負担が原則の賃貸物件の修理費等について、借主負担としている事業者が約4割いることもわかっています。一方で、約7割は更新料を設定していませんでした。
つまり、リースバックにおける家賃や費用負担については、通常の賃貸契約とは異なるケースがままあり得る、ということでしょう。
クーリング・オフは適用されない
さらにおそろしいのは、自宅を業者に売却した場合、クーリング・オフが適用されない点です。周囲の家族が「この契約はおかしいのでは?」と気付いたとしても、売買契約が成立してしまった後では、無条件で解約することができないのです。
たとえば、「買取額が安すぎておかしいから家を取り戻したい」となった場合、解除するにはいわゆる「手付倍返し」として、手付金の倍額を支払うことになります。また、ある一定の期間を過ぎると、多くの場合、違約金が必要となりますが、家の売買は高額になりやすいので、違約金も高くなり、結局諦めるしかない……ということが十分に考えられるでしょう。
試算やリサーチを重ねて冷静に判断
最新の調査結果や当事者の声をまとめてご紹介しましたが、改めて、リースバックを考える際に心に留めておいてほしいのは、まず周辺相場を調べることです。複数の業者から買取金額を聞き、妥当な金額かどうかを見極めましょう。そして、リースバックにおける賃貸契約においても、長期間、家賃を払い続けることができるのかどうか、しっかり試算をしてください。物価高騰によって賃料も右肩上がりの傾向ですから、家賃が値上がりする可能性も含めての検討が必要です。