まいばすけっとへの挑戦状をたたきつけた

 トライアルホールディングスはローカル立地を得意とするため、東京と神奈川にわずかな店舗しかなく、首都圏中心部では全く知名度がなかった。しかし、大半の店舗を首都圏に置く西友を買収したことで、イオンやヨークには及ばないものの、オーケー、ヤオコーに次ぎ、ライフやサミットに並ぶシェアを一挙に獲得し、さらに首都圏中心部では絶対王者のまいばすに挑戦しようとしている。

 鍵になるのが、デジタルをふんだんに使った小型スマートストア「トライアルGO」である。トライアルGOは、大きさや品ぞろえがコンビニのような感じながら、生鮮品を含めたスーパー需要を充足し、ディスカウントストアとして名高いトライアルの「激安価格」で買い物できるという、画期的なミニスーパーである。顔認証で自動決済もでき、省人化によって運営コストを下げつつ、顧客の手間も省く。

小型スマートストア「トライアルGO」(トライアル公式サイトより)

 まいばすがイオンの加工センターから生鮮や弁当、総菜を配送しているように、トライアルGOは、当面は西友店舗をインストア加工拠点として活用して、そこから供給するサテライト方式を採るだろう。そして、トライアルGOが一定の店舗数に達した際には、イオン同様、センター加工機能を追加投資するとみられる。まさにトライアルGOは、まいばすへの挑戦、なのである。

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 こうしたセンター加工型スーパーへの挑戦は、スーパーのみならず、センターのインフラで一歩先を行くコンビニも準備中である。最近まで別件でいろいろあって話題となっていたセブン-イレブンの「SIPストア」なる業態も、本来はスーパーの内食需要を奪い取るために企画された店だ。

 SIPストアは一見、品ぞろえに生鮮食品を追加した大型コンビニのように見えるが、実態はセンター供給型のスーパーであり、密集店舗網による物流ノウハウで勝るコンビニのインフラを活用した、新しい業態なのである。従来型の国内コンビニ市場は既に飽和しているが、内食需要を取り込める新業態ができれば、スーパーと戦える。市場飽和がさけばれるコンビニ市場は12兆円ほど、それに対してスーパー市場は少なくとも25兆円以上はあることを考えれば、コンビニとしては見過ごすわけにはいかない。