『ハンサム・ガイズ』
今年はあまり日本では観られなかった、イキのいい韓国映画だった。
2012年のカナダ映画『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』のリメイク作だが、オリジナル要素満載だ。
互いを「ハンサム」「セクシー」と呼び合うものの、あか抜けない風体と目つきの悪さから周囲からは凶悪犯と勝手に思われてしまうオジサン2人組が主人公だ。2人は森の奥で暮らそうと一軒家を買い取るも、これが広告と全く異なるオンボロ屋敷で、仕方なくDIYで改装することになる。そんな折、湖畔で溺れている女子大生を助けたものの、それを目撃した彼女の仲間たちからは拉致だと誤解され、彼らは2人の家を襲撃しようとする。
本作がまず面白いのは、女性に全く縁がなく生きてきた2人が女子大生と打ち解けていく様が微笑ましく描かれるのと同時進行で襲撃が描かれる点だ。大学生たちは本気で2人に襲いかかるのだが、その度に不運が重なってDIYの工具に巻き込まれ、命を落としていく。それはまるでセルフ『ホーム・アローン』状態。その無残な自滅ぶりと、和気藹々とはしゃぐ主人公たちとのギャップが凄い。しかも、これが実にあっけらかんと描かれているため、それぞれかなり残酷な死に方をしているにもかかわらず、カラッとコミカルに映し出されている。
それだけでは終わらない。実はこの家には悪霊が封印されており、この騒動で復活して大学生たちの死体に取り憑いていくのだ。これは、あくまで大学生たちとの話のみで終わったカナダ版にはない、オリジナルの展開。実に韓国のコメディ映画らしい、ごちゃ混ぜ状態である。終盤にオンボロ屋で繰り広げられるお祭り騒ぎに向けて、ひたすらハイテンションなまま最後まで突っ走る。
よく考えたらかなりの惨劇だったにもかかわらず、そんなことは微塵も感じさせない爽やかなエピローグに至るまで、とにかく勢いのいい、ぶっ飛んだコメディ映画に仕上がっていた。
『ハンサム・ガイズ』
監督・脚本:ナム・ドンヒョプ/出演:イ・ソンミン、イ・ヒジュン、コン・スンヨン、パク・ジファン、イ・ギュヒョン/2024年/韓国/101分/配給:ライツキューブ/© 2024 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & HIVE MEDIA CORP All Rights Reserved./公開中
