岡村靖幸さんがトークテーマを設定し、ゲストと対談をする「岡村靖幸の〇〇。」今回のゲストは大竹しのぶさん。岡村さんは大竹さんと以前から交流があり、大竹さんは岡村さんと斉藤和義さんのユニット「岡村和義」のファンなのです。

 10代でデビュー後、一躍スターダムに駆け上がり、今年10月からは舞台「リア王」でリア王役を演じるなど、俳優として第一線での活躍を続ける大竹さん。そんな大竹さんとの対談のトークテーマに、岡村さんが選んだのは「才能」。話題は大竹さんが子育てのために休業をしていた期間にも及び……。『週刊文春WOMAN2025秋号』より一部を抜粋・掲載します。

 

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私は1年半『○○くんママ』というステータスだったんだな

岡村 仕事を休んでいた時期がありましたよね。

大竹 1年半ぐらい仕事を休んで主婦業をやってました。娘のIMALUが生まれたということもあって、仕事は全部断って家にいたんです。

岡村 葛藤はありませんでしたか?

大竹 育児に追われてましたから、それどころではなかったし、なにもかも自分でやらなくちゃと思い込んでいたところもありました。でも、それが嫌だとか苦痛だとは思わなかった。ただ、そうすると名前がなくなっていくんだなというのは感じて。みんなに「ニッカくんママ」(注:「ニッカくん」は長男の二千翔さんの愛称)としか呼ばれなくなるんです、ずっと家にいると。

岡村 「大竹しのぶ」ではなくなっていくことに寂しさを?

大竹 いえ、子育ても喜びなので寂しいとは思わないんです。でも、仕事に復帰したときに「大竹さんお願いします」って言われてハッとしました。「そうだ、私は『大竹さん』っていうんだ。私は1年半『○○くんママ』というステータスだったんだな」って。

岡村 なぜ仕事に戻ろうと? きっかけはあったんですか?

大竹 説明が難しいんですが。ある日、シャワーを浴びていたときに、身体の細胞がすべて塞がれてる感がしたんです。プツプツプツプツと音を立てて。そして「お芝居をしたい」という気持ちが体の中からカッカッと湧き出てきたんです。芸能界に戻りたいとか、「大竹しのぶさん」と呼ばれたいとかじゃなく、ただただ「お芝居をしたい」。身体中の細胞がそう叫んでた。

 で、お風呂からあがって新聞を開いたら、バーンと出てたんです。ミュージカル『ミス・サイゴン』のオーディション広告が。これだ! 応募しよう!