政府のキャンペーンとテレビ番組の重なり
もうひとつの特徴は、先行しているNHK『COOL JAPAN』の放映開始時期が、小泉政権下で「日本ブランド」づくりに向けてソフトパワーの推進を提唱する「日本ブランド戦略の推進」(知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会日本ブランド・ワーキンググループ、2005年2月)、「「新日本様式」(Japanesque Modern)の確立に向けて~世界に日本の伝統文化を再提言する~」(ネオ・ジャパネスク(新日本様式)・ブランド推進懇談会(経産省)、2005年7月)を出したあと、そしてそれをうけて第一次安倍政権が「美しい国」というシンボルを掲げた(2006年)時期と重なっているのも興味深い。
政府が〈日本文化の優秀性・独自性〉を強調しはじめた時期と、こうしたテレビ番組群のブームとが重なっているのも、国策に乗っかり・社会的トレンドを形成していくという意識産業としてのメディアの特性が浮かび上がるように見える。
「日本人でも知らなかった“日本の素晴らしさと独自性”」
こうした番組群のコンセプトをそれぞれの公式WEBサイトから拾ってみると、代表的なものでは——
毎回テーマに沿った外国人専門家集団=「視察団」を日本に招き、さまざまな場所や人を視察してもらいます。
彼らが思わず「ニッポン、スゴ~イデスネ!」と言ってしまった“母国と大きく異なる、日本のスゴさを感じること”をVTRで詳しく紹介していきます。外国人の視点だからこそ、さらに浮き彫りになる日本のスゴさ、そして海外との違い——。日本人でも知らなかった“日本の素晴らしさと独自性〞を新発見でき、もっと日本が好きになれるバラエティです!
(テレビ朝日『世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ! !視察団』公式サイトの番組紹介文)
日本が誇る“100円グッズ”を、まだそれを見たことのない世界の国々に持って行き、現地の人々がどんな反応をするのかを調査する番組! 思わず手にしたモノや、使い方を知って驚いたモノを実際に家で使ってもらう様子に密着取材します。日本のアイデアグッズに感動したり、従来の用途とは違う驚きの使い方をしたり……安くて質の高い100円グッズが、世界の人々の役に立つ様子を取材します。
(テレビ東京『ヒャッキン!│世界で100円グッズを使ってみると?』公式サイトの番組紹介文)
と、臆面もなくストレートな「日本スゴイ」ぶりが並んでいる。「世界中で大人気の日本文化「クールジャパン」」「日本のスゴさを感じること」「日本の素晴らしさと独自性」といったキーワードに溢れているのである。
