また引越すとなると、払った初期費用が無駄になる――。普通の人であれば引越しに二の足を踏む状況だが、松葉さんにはもしもの時の「お守り」があった。

20万円が補填された「CHINTAI安心パック」

以前の引越しで一度失敗を経験していた松葉さんは、今回の物件探しで、不動産サイトに載っていたとあるサービスを見つけていた。「CHINTAI安心パック」と名付けられたこのサービスは、たとえどのような理由であっても、引越し後3カ月以内に再び引越しをした場合、一定の金額を補助するというものだった。松葉さんは、20万円が補助される1万1000円のプランに加入した。

20万円が無事に支払われると知った松葉さんは、連続した引越しにもかかわらず転居費用を心配せずに次の住まい探しができたのだという。「もし加入していなければ、お金のことが気になって我慢して住み続けていたと思います。補助金があるとわかったからこそ、早めに決断できました」と振り返る。

ADVERTISEMENT

さらに松葉さんは、「特に女性は、防犯の観点からも安心パックは有益」と語る。

「隣にどんな人が住んでいるかは、実際に暮らしてみないとわかりません。不安を抱えながら生活するのはつらいですよね。いざとなれば別の部屋に移れる選択肢があるのは安心です」

「引越しで後悔」を救うアフターサービス

松葉さんが加入した「安心パック」を提供する株式会社CHINTAIの中山大之さんは「入居後に物件や環境に不満を抱えている人は意外と多い」とサービス開始の理由を語る。

CHINTAIの調査によると、入居者の約7割が引越しに「何らかの後悔がある」と回答したという。

「部屋を紹介したら終わり、契約したらサヨナラの状況は何か違うと思っていました。入居後のアフターケアの必要性を感じていました」(中山さん)

前身となるサービスでは「転勤・療養・介護」の理由に限っていたが、「補償が限定的すぎる」という声が多く、改善の必要性に迫られていた。そこで、理由の条項を取っ払ってどんな理由であっても適用可能にし、プランも20万円を補填するプラン(加入金:1万1000円)と30万円のプラン(同3万800円)の2つにした。すると、サービスの本格開始から3カ月で500件以上の申し込みがあった。