「安心パックがなければ、違約金や引越し代を考えて転居を諦めていたかもしれません。負担が軽くなったことで、迷わず行動できました」と中根さんは振り返った。
「入居ハードルが下がる」物件オーナーにもメリット
筆者は過去に木造3階建て物件のオーナーをしたことがある。その立場から見ると、安心パックは部屋を探す借主だけでなく、貸す側にとっても空室リスクの軽減に役立つと感じる。内見をしても「住んでみないとわからない」ことはある。
実際に筆者の物件でも、入居後1カ月程度で騒音を理由に退去した入居者がいた。隣室住民のマナーが特段悪いことはなかったが、1フロアに3部屋あるうちの真ん中の部屋だったことから、両隣から生活音が聞こえる環境に不快感を抱いたのではないかと思っている。このような場面で、転居費用や違約金の一部を補填してくれるサービスがあると、賃借人が我慢をして住む必要がないので、無用なトラブルを回避できるはずだ。
また、いざとなれば解約して転居しやすい安心感があると、入居そのもののハードルが下がる。オーナーからすると、空室リスクの軽減になるのではないか。特に閑散期に入居を促す効果がありそうだ。
一方で、手放しに喜べない面もある。まず、入居後すぐの退去が増えるリスクだ。入居者の募集には手間と費用がかかるため、入居後3カ月以内で出ていかれると収益が不安定になる。加えて、退去が頻繁になるとクリーニングなどの原状回復の頻度も上がり、募集時の広告費を含めるとオーナーの持ち出しが増える懸念がある。
ただ、安心パックの補償額を見ると、転居に伴う費用の一部はユーザーが自己負担する設計にも感じる。そのため、どうしても我慢できないときの備えとしての位置付けであり、オーナー側にとっての「入居してすぐ退去」が頻発するリスクは抑えられているように思う。
可能なら「昼夜2回以上の内見」を
CHINTAI安心パックは、入居後に「思っていたのと違った」と感じたときの心強い味方だ。経済的な補填があることで、住み替えを現実的な選択肢にしてくれる。ただし理想は、そもそも利用せずに済むこと。補填があっても、不快な思いや転居の手間を完全に避けられるわけではないからだ。