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「カラ出張」で遊ぶ金を作っただけじゃなく…
それはカラ出張だ。カラ出張とは、実際に出張していないのに、宿泊費や交通費、飲食費などの領収書を会社に申請し、着服するという犯罪行為だ。
「春夏の新商品を入れ替えるために、山形の新庄から宮城の鳴子の方をまわって、多賀城へ行くことがありました」
実際の出張コースを行ったことにして、仲間から領収書をもらった。月に一度不正をすれば、20万円分ほどの臨時収入となった。それでも遊ぶ金は足りない。その分はサラ金に通うことになる。
「だんだんとコンプライアンスがうるさくなり、不正ができずに、借金が増えていったんです」
31歳のとき、どうにもできなくなり、株で儲けているという叔父に400万円の借金を告白した。武富士、アコム、プロミスといった大手サラ金、錦糸町などにあるヤクザ系のサラ金でもつまんでいた。
「ワシも先月株で700万すったとこやのに……。もっとはよ連絡してこいや。しゃーないのぅ」
叔父はぶつくさ言いながら、翌日、誠の口座に金を振り込んでくれた。400万には少し足りない380万円だった。十分なはずだったが……。
残った20万円から借金をまた重ね、1年半で元の400万円に戻った。借金の原因はほとんどがパチンコだった。
自分ではマジメな性格と思っていたが、ついついパチンコに依存してしまう……。
「自分に甘い」という誠の短所があらわれ始めていた。