「志布志市志布志町志布志」に到着

 快適な客室とベッドで一晩を明かし、夜明け前から甲板は人でいっぱい。朝から轟音を上げるファンネル(船の排気口)の横で、360度全方向に広がる海と、のぼる朝日を眺める。非日常感あふれる朝のひとときだ。

夜明けを眺める人々
ファンネルが朝焼けの空によく映える

 親子でじゃれあっている人々、自撮りに興じる人々、ラジオ体操をしている人々、みんながリラックスしきっている。スマホが繋がらない時間帯も多いせいか、静かに過ごして心をほぐせるのが、長距離フェリーの船旅ならではだ。

 朝食は夕食同様にバイキング形式で、さんふらわあの密かな名物「さつまあげ」(太陽マークの刻印入り)など数種類のおかずなどがあり、もちろん「さんふらわあカレー」も食べられる。夕食ほどの豪華さではないものの、日の出とともにゆっくり明るくなっていく海を眺めながら、食べる朝食は格別だ。

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海を眺めながらの朝食

 朝8時台、ようやく志布志港が近づいてきた。さんふらわあに長年勤務している方は、志布志航路や大分航路・別府航路など、それぞれに海の色が違って、365日眺めても同じ景色がないほどに変化に富んでいる、と話していた。その言葉の通り、海面を眺めているだけでも飽きがこない。

長旅を終え、志布志港に到着

 船は朝8時55分に、鹿児島県志布志市志布志町志布志にある志布志港に接岸。大型フェリーを係留するため、ロープの先を据えつけた巨大ガン(索発射銃)を船から岸壁に「ドン!」と発射し、地上側のスタッフが受け取ってボラード(係留柱)にロープをつなぐ。この作業を見守るために、下船の準備ができる直前まで、甲板は人でいっぱいだ。

志布志市志布志町志布志にある、志布志港の表示

ホテル高騰の今、フェリー旅も良いのでは?

 日本の長距離フェリーは、全国で15航路。全国4航路・10隻のさんふらわあ以外にも、本州~北海道の日本海側を航行する「新日本海フェリー」、カレーが美味しい「太平洋フェリー」、東京~九州間の1100キロを30時間以上かけて移動する「オーシャン東九フェリー」などが存在する。

カレーが根強い人気を誇る、太平洋フェリー
長距離フェリーの中でもさらに長い航路を移動する、オーシャン東九フェリー フェリーりつりん

 この日、さんふらわあ さつまの記念運航に乗り合わせた中には、互いの情報を交換し合って「次はあのフェリーに乗ろう!」と楽しそうに語る人も多く見られた。就航地は限られているものの「ドーンと大きい船で朝まで熟睡」できる大型フェリーの船旅の魅力は、まだまだ一部の人にしか伝わっていないように感じる。ホテル価格が高騰する昨今、移動するホテルとして、もっと広く魅力が伝わると良いのだけれど。

さんふらわあ最新鋭船の「かむい」。大洗~北海道航路に就航している(報道発表会で撮影)

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