一歩足を踏み入れると「まるでリゾートホテル」の豪華な世界
フェリーに一歩足を踏み入れると、目の前には3フロア吹き抜けのアトリウム(吹き抜けの共用スペース)がパッと広がり、(窓から大阪湾が見えなければ)リゾートホテルと見間違うほどだ。船内の壁には鹿児島・大隅の「雄川の滝」や志布志のトビウオ、出水のツルなどがグラフィックで描かれ、「これから鹿児島に行くぞ!」というワクワク感が、否が応でも高まる。
そして出航15分前。船員を統括するマネジャーの方が打ち鳴らす、出航を知らせる銅鑼を聞いておきたい。フェリー旅の醍醐味の一つだ。
出航前には、見晴しがよい甲板(屋外デッキ)に出てみよう。恐らくドライブ・ツーリングで九州を巡るであろうキャンピングカーや、250ccやハーレーなどのバイクが次々とフェリーに乗る様子を眺めるのもいい。
さんふらわあ さつまが向かう志布志市の一帯は薩摩黒豚・宮崎地鶏などの一大産地であり、トラックやシャーシ(車輪付き台車)なども、畜産用の飼料といった貨物を満載した状態でフェリーに乗り込む。このフェリー以外にも全国の「フェリーが運ぶ荷物」は自動車部品だったり、食肉だったり、お菓子だったり……各社・各航路ごとに差が出ていて面白い。
フェリーは出港から30分が「ゴールデンタイム」
出航すると、船はゆっくりと陸地を離れていく。最終目的地の九州に向かいながら「水上を動く展望台」ともいえる、船からの眺めを堪能したい。
出航からしばらく背後には、200メートル以上の高さがある「ATC(アジア太平洋トレードセンター)ビル」と、南港エリア一帯のコンテナ埠頭・ズラリと並ぶガントリークレーンを一望できる。
そして、今しか見られない景色といえば、大阪・関西万博の「大屋根リング」だ。少し距離はあるが、この日は出航が若干遅延したこともあり、たまたま開催していた花火大会のタイミングと合致した。
ほとんどの長距離フェリーにとって、離岸して陸地を遠ざかるまでの30分間が「キラキラの景色(夜景)を見られるゴールデンタイム」だ。地図アプリなどを確認しながら、遠くに見える夜景がどんな建物なのかを眺めるのも良いだろう。






