新幹線なら3~4時間、飛行機ならシャトルバス込みでも2時間――そんな区間を十数時間かけてゆっくり進む長距離フェリー。そのゆっくりさ、ゆったりさが良いと、一部ではコアな人気を獲得している。

 そんなフェリーの中で、大手ともいえる商船三井さんふらわあの「大阪志布志(鹿児島)航路」が就航50周年を迎え、このたび記念航行を実施した。

太陽がトレードマークの商船三井さんふらわあ 筆者撮影、以下同

 ホテルのような広々としたフェリーで海を眺めたり、寝心地の良いベッドでうたた寝したり、バイキングに舌鼓を打ったりといったフェリーの楽しみを50周年仕様に強化した航行のチケットは、通常価格(1万8200円~)の半額ということもあって発売から間もなく完売となった。

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 約15時間におよぶ船旅は、いったいどのようなものなのか。記念航行に参加する機会を得たので、これまで70近くの航路に乗船してきた筆者がレポートしていこう。

船着き場のターミナルへは専用バスで向かう

 大阪港を出航するさんふらわあのターミナルは、大阪市住之江区・アジア太平洋トレードセンター内にある。志布志行きの「さつま」が発着するのは、専用バスで向かう「第二ターミナル」だ。

鹿児島航路に就航する「さんふらわあ さつま」 2018年建造

 船内に乗り込んでいるのは子連れのファミリーや熟年家族、九州にドライブ・ツーリングに行く人々、とにかくフェリーが大好きなファンなど、いつも以上にバラエティー豊かだ。定期的に乗船するトラックドライバーが、普段と違う雰囲気に面食らって「えっ、何ごと?」と、顔見知りの船員さんに確認する姿も見られた。